162自動組立ステーションの信頼度

 自動組立の世界的権威の牧野先生の著書に自動組立ステーションの信頼度について次の様な記述があります。併せて過去に経験した事例について紹介します。

 振動フィーダとマガジンの差、エアシリンダとカムの差は、信頼度にして99.5%と99.995%との差である。この0.5%に満たない差は、しかしながら100倍の差である。保守要員が1人要るか100人要るかの差なのである。

 そもそも、自動組立システムに用いられている各ステーションユニットの信頼性は「100%以上」なければいけないと言われているのである。100回の組み付けを行って100回成功すれば、これで信頼度は100%である。しからば、100%「以上」とは一体何を意味するのか。

 これは、100%に対して、まだまだ余裕があるということなのである。調整に調整を重ねてギリギリきわどい所でやっと100%に達しているというのではなくて、余裕しゃくしゃく、雨が降ろうが風が吹こうが、温度が上がろうが下がろうが、そんなことにはおかまいなしに、常に100%の信頼性をもって組み付けができるということなのである。

 もしそうでなければ、30ステーション以上もあるような大きなシステムでは、あちらが止まると思えば今度はこちら、保守要員は運動靴を履いて工場の中を走り廻らなければならないのである。

 以上、牧野先生の著書からの抜粋です。

 まだ、生産技術部門の担当エンジニアであったころ、ロボットの導入先でティーチング作業を頻繁に行った経験があります。組立ロボットの基本である部品の挿入のティーチングでした。最初はどんなに慎重にティーチングしても、プレイバック時に100%近くの信頼性で部品を挿入することはできませんでした。原因はティーチングに部品サンプルを使い、そのサンプルが持っていた誤差を含めてティーチングしていたためです。以降、ティーチング治具と称して誤差のない専用部品を作成してティーチングをしました。さらに挿入の余裕度を測るため、±X方向、±Y方向に0.1㎜程度わざとティーチングデータをずらして挿入できるかを確認しました。結果OKとなりましたが、大変な作業でした。

 さらに、牧野先生が言っている「雨が降ろうが風が吹こうが、温度が上がろうが下がろうが、そんなことにはおかまいなしに、常に100%の信頼性をもって組み付けができる」ようにするために、現在では、視覚、力覚センサ―による位置合わせ技術が使われるようになりました。

 しかし、当時でも余裕しゃくしゃくでプレイバックに成功したティーチングが一つありました。それはロボットに筆を持たせて、厚紙に「科学する心」と書くティーチングでした。岡山の吉備高原サイエンス館にデモンストレーションロボットとして導入し、20年ほど稼働していました。

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