151フィージビリティスタディ(その2)
あるプリント基板工場の製造品質を改善するため、IoT、AIを使ってフィージビリティスタディを1年ほど実施したことがあります。ブログ№149でその流れをまとめました。ここでは、その推進プロジェクトメンバーについてまとめます。
<工場の依頼事項>
データを活用して品質管理しているにも関わらず、ライン停止に及ぶ突発不良が発生している。突発不良の原因がわからないので、現状は発生後に関連するメッキ液槽の全取り替えなど、膨大な費用と時間をかけて対応している。多因子が関係する問題だと捉えている。IoT、AIを使って改善したい。
<フィージビリティスタディ>
異常の予兆がわかることと、どのパラメータをチューニングすれば改善されるかが見えるような取り組みを考えました。詳細はブログ№104~№116を参照してください。
①データの棚卸:担当者の専門分野はケミカルです。対象工場の材料受け入れから製品出荷まで調査し、データを大きく加工条件データか加工結果データか、自動収集データかマニュアル収集データかに分類しました。
②品質不良の要因分析:①と同じ担当者です。特性要因図は大きく設計課題か製造課題かに分類しました。製造課題についてはさらに4M(Man、Machine、Material、Method)に分類して、現場のベテラン技術者や有識者の意見を聞きながら、特性要因図を作成し、各要因に優先度をつけていきました。
③データの収集:担当者の専門分野はハードファームです。サンプル数が少ないマニュアルデータに対してAMR(Analog Meter Recognizer)を使ってデータを収集するシステムを開発しました。
④データの統合:担当者の専門分野はソフトウェアです。データの統一フォーマット、データベースへのデータ格納ルールを定めました。生データをクレンジングし、紐付けするツールを開発しました。
⑤データ分析:担当者の専門分野はIEです。紐付けされたデータを使って、分析ツール(Da- navi)で予測モデルを作成し、品質予測をシミュレーションしました。予測精度を向上するため、データの選択、組み合わせを変えながら、思考錯誤を繰り返し検証しました。
⑥データの運用:①の担当者と同じです。現場の製造技術、設備技術、検査、情報システムの各部門を取りまとめ、運用手順と体制を作り工場で仮運用を開始させました。現場では本運用に必要な予測精度を確保するため、データ品質を上げる取り組みをしています。
以上の一連の作業において、データサイエンティストに依頼する事なくできたのは、分析作業をナビゲーションしてくれるツール(F社のDa-navi)のおかげです。サイエンティストの育成にしてもサイエンティストへ依頼するにしても、多大な費用と膨大な時間がかかります。1度、本ツールを検討してみてはいかがでしょうか。
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