149フィージビリティスタディ(その1)

 あるプリント基板工場の製造品質を改善するため、IoT、AIを使ってフィージビリティスタディを1年ほど実施したことがあります。その流れをまとめてみました。

<工場の依頼事項>

 データを活用して品質管理しているにも関わらず、ライン停止に及ぶ突発不良が発生している。突発不良の原因がわからないので、現状は発生後に関連するメッキ液槽の全取り替えなど、膨大な費用と時間をかけて対応している。多因子が関係する問題だと捉えている。IoT、AIを使って改善したい。

<フィージビリティスタディ>

 異常の予兆がわかることと、どのパラメータをチューニングすれば改善されるかが見えるような取り組みを考えました。詳細はブログ№104~№116を参照してください。

 ①データの棚卸:対象となる製造ラインのどこに、どのようなデータがどのような形で存在しているかを材料受け入れから製品出荷まで調査し、取りまとめました。

 ②品質不良の要因分析:特性要因図を作成して要因分析を実施しました。現場のベテラン技術者や有識者の意見を聞きながら、各要因に重要性の優先度をつけていきました。

 ③データの収集:優先度の高いデータを、統一フォーマットに変換してデータベースに格納しました。データベースのフォーマットも作成しました。

 ④データの統合;先のデータをクレンジングし、ロット単位、時系列単位で紐付けしました。予測モデル作成には過去のプロセス状態データ(説明変数)と検査結果データ(目的変数)の紐付けが必要となります。リアルタイムデータはプロセス状態データのみの紐付けとなります。

 ⑤データ分析:リアルタイムデータを予測モデルにインプットして、最終検査結果を予想します。品質レベルがどのくらいになるか、品質レベルが上向きか下向きかを予想します。また、どの工程をどのようにチューニングすると改善されるかもシミュレーションします。フィージビリティスタディでは最終検査結果と照らし合わせて、予測精度を検証しました。

 ⑥データの運用:運用手順と体制を作り工場で仮運用が始まりました。現場では本運用に必要な予測精度を確保するため、データ品質を上げる取り組みをしています。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

ものづくりの普遍のテーマに取り組んできた生産技術者の備忘録です。 スマート工場に向けた自動化、IOT、AIの活用について記載しています。 ご相談は下記のシマムラ技術士事務所へ。 It describes Automation and IoT/AI for smart factories. For consultation, please contact the following office.

0コメント

  • 1000 / 1000