147自動化ラインの4M管理
自動化ラインの4M管理について、東海大学 村山省己氏の「ロボットを活用した生産ライン自動化のレイアウト設計の考え方」といった記事が技術情報協会出版の書籍に掲載されています。ここでその1部を取り上げ、自らの経験と見解を記載したいと思います。
<記事の抜粋>
自動化ラインでの生産においては確実に連続で自動運転できることが不可欠となる。前工程の材料品質のバラつき、部品寸法のバラつき、加工・組立条件のバラつき、設備の繰り返し精度等々、安定した連続生産を行うにはバラつきは理由にならない。バラつきは工程内不良、チョコ停頻発、設備故障を引き起こし生産性の阻害要因となる
バラつきの要因が特定できない場合、設備が原因か材料が原因かで揉めることになる。したがって4Mそれぞれのバラつきを抑制するよう事前検証を行い想定される原因を追究し具体的な対策にもとづき工程設計に反映させることが自動化ラインの基本となる。
<経験と見解>
以前、ハードディスクの自動組立ラインの開発、導入を手掛けたことがあります。現地に設置して本格的運用に向けてチューニングをしている中で、100回に1回程度どうしてもネジが着座しないエラーが発生していました。事前の自動ネジ締機の評価では、そのようなエラーは発生していませんでした。原因がわからないまま、ネジ締めの位置の調整やトルク調整を繰り返し行いましたが、一向に改善されませんでした。
そこでネジ自体に問題がないか調査しました。ネジが着座していない不良サンプルを樹脂で固め、断面が見えるように削り、工具顕微鏡で観察してみました。結果、おネジの山の先端が2つに割れていることが分かりました(ツインピークス)。めネジがおネジの正しい谷に入らないで、この割れ目に噛み込んで着座できなかったことが判明しました。
このツインピークスは転造ネジ特有の現象です。転造ダイスで成型する過程でネジ山が2つから1つへと変化しますが、転造量が少ないと2つ割れの状態のままネジとなります。人間がネジ締めを行う場合には、着座する前に硬くなると、当たり前のごとく1回ネジを緩め、再度締め直すといった工夫をしています。以降ネジ締機のシーケンスに、着座前にトルクアップしたら、巻き戻し、再度ネジ締めといったリトライ機能を追加しました。
以前、SMTラインのチョコ停の原因を探るため、ビッグデータ分析を実施しました。SMTラインの各設備のイベント情報、エラー情報のほか、部品の情報などを収集し、分析した結果、あるチップ部品との相関が強く出る傾向がみられました。そのチップ部品を電子顕微鏡で観察してみました。通常であれば、チップ部品の形状は羊羹型(直方体)をしていると考えられていたものが、そのチップ部品はかまぼこ型をしていました。チップ部品を搭載するロボットの吸着コレットが、それに対応しておらず、吸着ミスを頻発していたようです。
以上の事例で分かるように、組み立て系の製造ラインにおいては、ワークや組み付け部品、締結部品について、十分理解しておく必要があると思いました。従来の部品では大丈夫だったとか、人手作業では問題なくできていたとしても、そこには隠れた要因、ノウハウが潜んでいます。
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