145 IoT・AI導入と運用

 IoT・AI導入と運用に関連した、(同)コンサランス 高安篤史氏の「IoT・AI導入工場内におけるデータの統合と一元管理の方法」といった記事が技術情報協会出版の書籍に掲載されています。ここでその1部を取り上げ、自らの経験と見解を記載したいと思います。

<記事の抜粋>

 現場主導:IoT・AIを導入する際は、現場主導が重要になります。通常のIT導入のようにシステム会社(SIer)などに任しても進まないのが実情です。センサ接続を考えても、設備のどの位置に接続すればよいのかを現場が考えることになります。逆に、システム会社(SIer)がIoT導入を主導しようとしても、現場のノウハウが無いためうまくいかないことが多いのも事実です。

 現場適用の壁:分析した結果、改善方法が確認された後に、現場に適用する際にも壁が存在します。”従来の標準化された” 又は ”慣れ親しんだ” 方法では無く、新しい方法を現場に適用しようとすると、多くの抵抗勢力が発生します。ここでいう現場とは、製造業の生産現場に限らず、営業部門/購買部門/開発部門などの改善を適用する間接部門も対象になります。⇒(対策方法)早めに現場の担当者を巻き込んでおくことが重要です。推進体制の確立の際に、現場関係者の必要なメンバーが推進プロジェクトに参加していることがこの壁にぶつからない最善の方法です。

<経験と見解>

 以前、プリント基板を製造する現場において、IoT・AI導入のフィージビリティスタディを行いました。以下は導入内容と運用に向けた対応内容です。

 予測した加工結果を品質改善に展開するためには、分析結果の活用方法を検討しこれを取り入れた現場の運用の仕組みを作り上げる必要があります。

①過去1年分のデータ(加工条件+加工結果)を学習データとして収集し、予測モデルを作成します。予測モデルは、月に1度、要因分析に基づき新規に作成します。

②直近1日分の加工条件を予測モデルで分析し、加工結果を予測します。

③加工結果の予測値が管理値を逸脱した場合、これを異常予兆として判断し、警告を出します。併せて加工条件のどの項目がその要因であるかを提示します。

④ ③の提示内容に基づき、加工条件のチューニングを行います。チューニングでは、基準値からのオフセット量の調整とバラツキを抑える作業を行います。実測値が管理値の上限から下限の範囲に収まっている場合でも、適正値に近づける試みを行います。

 この運用サイクルを実行するために最も大切なことは、導入側の運用体制の構築です。工場は専門の役割分担の影響により、縦割り社会が形成されています。たとえば、製造部門や製造技術のメンバーは工場の情報システムや設備についてはわからない。情報システムや設備から見るとその逆です。また、各部門の上司と担当間のギャップについても同じことが言えます。上記の導入教育においては、製造技術のメンバーと情報システムのメンバーに対して、ワークショップを交えながら2週間ほどかけて行いました。また上司には目的、重要性と効果について教育していきました。

 フィージビリティスタディ推進体制の中には、経営陣はじめ、製造、製造技術、設備技術、品質管理、情報システム、プロセス開発部門等が含まれていました。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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