144 IoT収集データの種類と活用

  収集データの種類と活用について、千葉工業大学 森雅俊氏の「IoT・AI導入工場内におけるデータの統合と一元管理の方法」といった記事が技術情報協会出版の書籍に掲載されています。ここでその1部を取り上げ、自らの経験と見解を記載したいと思います。

<記事の抜粋>

 収集データの種類と活用:生産ラインでは製造のための機器として、搬送装置、加工装置、注入装置、圧着装置、加熱装置、冷却装置、梱包装置多くの工作機械が稼働しており、また連携し合っている。しかしメカニズムを伴う装置である以上、温度や湿度といった稼働条件の変化、異物の混入、規定数値を超えた材料の注入等、正常動作を妨げる多くの障害要件が考えられる。継続的な生産工程を阻むラインの停止や、製造後に見つかる製品の不具合がこれにあたる。~中略~

 また、IoTの機器を接続させずに、ベテラン作業者が個別の生産ラインの脇で機器の稼働状況を監視して、障害発生またその可能性が高いと判断した場合のみ、微量な調整を加えているケースも多い。いわゆる熟練者の巧みな「勘」で業務を回していることとなり、部分最適には繋がるが、全体最適とは言い難い。~中略~

 ~中略~業界ごとに複数の生産時データが発生しているものと考えられる。表記(略)されたものは現時点で入手可能なデータのごく一部であるが、現実には発生しているものの、その取得の必要性やその存在を認識していないデータも数多いことと推察される。各社ごとにシステムの導入状況は異なるものの、利用可能性の有無は考慮せずに各ラインで発生している顕在化していないデータの認知と整理・収集が必要である。

<経験と見解>

 以前、プリント基板製造工程の品質異常検知のフィージビリティースタディーを行ったことがあります。対象となる製造ラインのどこに、どのようなデータがどのような形で存在しているかを知り、取りまとめることが、データ活用の第1歩であると思います。これをデータの棚卸と呼んでいます。対象とするプリント基板の製造ラインにおいても、材料の受け入れから製品梱包まで調査を行いました。

 製造ラインの大工程のなかには複数の小工程があり、各小工程には加工条件を示すデータがあります。また、最後の工程には通常、検査工程が組み込まれており、それまでの工程の加工結果を示すデータがあります。さらに複数ある大工程の最後には最終検査工程があり、製品としての最終的な加工結果を示すデータがあります。分析に必要な説明変数に使われるデータ、目的変数に使われるデータです。

 データの棚卸を行うだけでも、いろいろな事が見えてきます。設備が自動で収集するデータは1分間に1回のサンプリングが行われていたり、マニュアルで収集するデータは1日1回程度しかないとか、中には普段全く使わないデータが多く見受けられるとか、発見があります。このことが後のAI分析において需要な因子の一つになることがあります。データの棚卸は、抜粋記事の「利用可能性の有無は考慮せずに各ラインで発生している顕在化していないデータの認知と整理・収集が必要である」の実行の形だと思います。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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