143生産方式とIoT

 3種類の生産方式とIoTついて、㈱MEマネージメントサービス 田村孝文氏の「既存工場にIoT・AIを導入するためのレイアウト改善の進め方」といった記事が技術情報協会出版の書籍に掲載されています。ここでその1部を取り上げ、自らの経験と見解を記載したいと思います。

<記事の抜粋>

 レイアウトの対象となる生産品目(Product)と生産量(Quantity)の関係を分析し、基本的なレイアウトの構想をかためる。何を、すなわち、個々の製品をどれだけ作るかを求め、レイアウトの基本としての生産方式(ライン生産方式、セル生産方式、機能別生産方式、これらの組み合わせなど)を決定する。そのために、P(製品:Product)とQ(生産量;Quantity)の分析を行う。~中略~ 3)製品Pを横軸、数量Qを縦軸に、縦の目盛に相当する製品別生産量で棒グラフを作り、累積生産量で折れ線グラフを作る。4)このグラフを使って、各製品をA(多量)、B(中量)、C(少量)のグループに分けて、ABCのそれぞれについて、生産工程を分割するか、結合するか、生産方式を決める。~中略~

 図表(略)はある工場(機械加工)のP-Q分析の例である。~中略~

 Aグループは累積生産量が80%までの生産群で、品種数は約20%に過ぎない。これらは少種多量生産品で、一般に、製品専用のライン生産が適している。

 Bグループは累積生産量が80%を超え、95%までの生産群で、品種数は約30%を占める。このグループは中種中量の生産品で、共用できるセル生産が適している。

 Cグループは累積生産量が95%を超えた、残りの生産群である。品種数は約50%ある。このグループは多種少量生産品で、汎用機による機能(機械)別生産方式で、ロット生産が多くみられる。

~中略~

 プラスαとしてダイナミックセル生産方式を追記した。これは2015年にドイツで紹介されたもので、IoTのモデルとして、リアルタイムに管理されており、多品種生産のフレキシビリティ―や生産性向上効果があったと紹介されたものである。

<経験と見解>

上記抜粋記事でダイナミックセル生産方式について図表(略)の中に万能機+IoTといったキーワードがありました。万能機とは機械加工であればマシニングセンタ、組立であればアセンブリセンタに相当するものだと思います。その万能機とIoTを組み合わせ、生産情報や品質情報を使って万能機が自律的にものづくりを行う将来の生産方式です。

 自動組立分野において世界的な権威者である牧野先生(自動化推進協会名誉会長)の著書の中にアセンブリセンタという記述が幾度となく出てきます。牧野先生が70~80年代に提唱されたアセンブリセンタとは、以下の通りです。

 機械加工においてNC(数値制御)プラスATC(自動工具交換)の機能を持つマシニングセンタが多品種少量生産に効果を上げています。組立の分野でも同じようにNCプラスATCの機能を持つアセンブリセンタを作ろうというものです。1つのステーションでなるべく工程を集約して1つのステーションでなるべく多くの部品を組もうと考えたものです。

 以前アセンブリセンタの考え方を取り入れた多機能組立システムを開発し工場へ導入したことがあります。詳細はブログ№043の多機能組立システムを参照ください。ただし、当時はまだIoTを組み合わせていませんでした。

 インダストリー4.0 スマートファクトリー実現に向けた生産方式としてダイナミックセル生産方式が要となるとは確かだと思います。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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