139未来を予測した長期戦略

 未来を予測した長期戦略ついて、NTTコミュニケーションズ㈱ 境野哲氏の「IoT・AIを導入・活用するためのようてい要点と今後の課題」といった記事が技術情報協会出版の書籍に掲載されています。ここでその1部を取り上げ、自らの経験と見解を記載したいと思います。

<記事の抜粋>

 IoT・AIの差異化を得るには、長期間にわたってデータを集めて多面的に解析して、その結果を実務に反映して効果を見極める思考錯誤を繰り返す必要があり、短期間に一朝一夕に高い成果を上げるのは困難である。したがって、短期的な目標よりも5年後10年後といった中長期的な将来展望と目標をもって取り組むべきである。目先の経費削減よりも。社会環境やニーズの変化に対応するための事業領域拡大の戦略などにIoTとAIを活用していくほうが望ましい。知識や人脈のない未知の領域にむやみに事業を拡張しても勝算は小さいが、既存の顧客や利用者が手間を採られている本業以外の煩雑な作業を自身の知恵とIoT・AIを使って低コストで代行できれば勝算は大きい。大切なのは「自社の今期利益を増やす」という利己的・近視眼的な視点ではなく、「未来社会のニーズに応える」という顧客志向・未来志向の視点で高い目標を設定することである。IoTやAIの普及に伴い業界が統廃合される事態も想定し(図略)、現在の事業が単独で存続可能か冷静に見極め、同業他社や異業種との提携を模索する事も必要である。

 そのように考えると、IoTやAIの活用法の検討を初めから現場の従業員に任せるのではなく、まず経営者が社会情勢の変化を予測してそれに対応する長期経営ビジョンを示し、その実現手段の一つとしてIoT・AIの活用戦略を策定するのが賢明ではないだろうか、経営陣にもICTの技術に精通した人材が不可欠なので、必要に応じて社外からICT人材を登用するなど、企業経営幹部の強化・育成・刷新も積極的に検討すべきである。

<経験と見解>

 以前、日本技術士会の講習会に出席しました。その講習会で「経営をデザインする」といったテーマがありました。ご存じの方も多いと思いますが、内閣府の直下の組織に(一社)日本知財学会なるものがあります。その中の研究会の一つである経営デザイン分科会の活動の紹介でした。

この分科会では「経営デザインシート」の普及に力を注いでいます。このデザインシートは、言わば会社組織の長期計画を作成するツールです。今後、日本が目指す社会の1つに「価値デザイン社会」があると見据えて、それに適応した長期計画を作成するツールであるとのことです。概要は下記の通りです。

 需要と供給の環境変化と経営をデザインすることの必要性:1985年当時は、よいものを作れば売れる 供給<需要 の環境であり、市場を維持、確保する大規模な製造設備などの、有形資産が価値の源泉でした。冷戦崩壊による軍需技術、予算の民間への開放、世界市場への東欧、中国などの参入に伴い、供給力のブレークスルーが始まりました。21世紀に入り、供給力のブレークスルーが進んだ結果、 供給>需要 へと変化し、新技術、新製品でも選ばれなければ売れない状況になりました。これに伴い、ノーズやウォンツに接近する価値を生み出す仕組み、データ等の無形資産が価値の源泉となってきました。

 経営デザインシートの概要: 100文字で言うと、環境変化に耐え抜き、持続的に成長するために、A自社や事業の存続意義を意識した上で、B「これまで」を把握し、C長期的な視点で「これから」のありたい姿を構想します。Dそれに向けて今から何をすべきかの戦略を策定します。詳細は本ブログ№045、№079を参照ください。

 抜粋記事には、中長期戦略を立てる必要が述べられています。具体的に戦略を立てるに当り「経営デザインシート」は適切なフォーマットだと思います。今後、このシートを各企業コンサルの共通ツールとして活用して行きたいと考えています。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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