129食品製造業界の課題
食品製造業界の課題について、日刊工業新聞社の書籍の中に記載されています。ここでその1部を取り上げ、自らの経験と見解を記載したいと思います。
<記事の抜粋>
食品工場には大きく分けると3つの課題がある。それは、「人手不足」、「生産性向上」、「安全性確保」である。
食品工場の多くは、深刻な人手不足の状態であり、労働力需給状況は、他の製造業と比べ雇用人員不足感が高い傾向にある。~中略~これを解消するために働き方改革や外国人労働者の採用、自動化の推進など様々な策が講じられている。~中略~ 人手不足克服の観点から、生産の自動化が求められている。一方で、食品製造業界における中小企業の割合は99.9%と高い水準であり、大がかりな自動化、機械化に取り組むことが難しい事業者も少なくない。~中略~ 2020年、HACCP義務化の法令が施行され、食品安全衛生に対する世の中の関心も高まってきている。~中略~ 食品安全衛生の中でもフードセーフティ、フードディフェンスというキーワードについて説明する。~後略~
「食品工場のIOT化の基礎と導入効果、運用・実践のポイント」ハセガワITプロデュース 長谷川 徹氏の記事 より
現在の日本の人口は(図略)の人口動態調査にみられるように出生率が長期にわたり減少して続け労働力不足に日本の産業全体が陥っている。食品製造業は(図略)に示される様に主要な製造業の中でも最も生産性が低く、そのために給与水準が低いなど労働条件が余りよくないので、製造業の中でも人手不足に特に悩まされているのが現状である。その現状の低生産性が向上しない限り人手不足が続くばかりでなく、労働条件の良い産業に雇用を奪われるために将来にわたり労働力不足になり、食品製造業は今後産業として円滑な活動ができなくなる可能性すらある。
「食品工場の自動化/機械化のノウハウと生産管理による効率化」テクノバ㈱ 弘中 泰雅氏の記事より
<経験と見解>
以前、食品製造業界の課題の1つとして食品ロスの問題を取り上げたことがあります。生産性向上のための人手確保、自動化とはある意味逆の課題をIOT、AIで解決する必要もあると思います。内容は以下の通りです。
先日テレビで気象データを活用して食品ロスを削減するといった番組を見ました。興味を惹かれる内容でしたので調べてみました。日本気象協会では食品製造の業界と連携してビジネス化しているということが分かりました。日本気象協会の調べでは、国内の食品ロス500~800万トン/年が、世界の食品援助量390万トン/年より大きいと出ています。企業側もCSRとして食品ロス削減を求められているとのことです。
気象データのように品質の良いデータを活用することで、データ収集、統合、分析がスムースにできると思います。説明変数としては日時、曜日、天気、気温、湿度、風向、風量、降水量、日照時間、気圧などが挙げられます。目的変数としては肉、魚、野菜、総菜のロス量などが挙げられます。効果としては製造エネルギー、廃棄エネルギーの削減で環境への影響を抑えることができる点、製造時のムリ、ムダ、ムラの削減によるコストを低減できる点があります。
さて、これを実現するための課題は何か?です。気象の変動に追従するため、多品種変量生産が安定的にできるシステムを考える必要があります。今まで通り人手に頼った方式だけでは、需要の変動に合わせて作業者の雇用、解雇に悩むことになります。食材の供給も生産者から小売業者まで連携する必要があります。サプライチェーンシステムは業界団体の取り組みが必要となります。
以上、抜粋記事に掲げられた課題、食品ロスの課題いずれをとっても、自動化、IOT、AIが必要となることに変わりはありませんが、何が重要で優先しなければならないかは、広い視点で検討しなければならないと思います。
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