128 IoTからAIに繋げる取り組み

 IoTからAIに繋げる取り組みについて、「製造業におけるIoTからAI(データ解析)いつなげる為の技術者教育と組織の作り方」といったテーマで住友金属鉱山㈱ 佐藤 健司氏の記事が技術情報協会出版の書籍の中に掲載されています。ここでその1部を取り上げ、自らの経験と見解を記載したいと思います。

<記事の抜粋>

 最後に:~中略~特徴の乏しいデータを如何に高度なデータ解析技術で処理してもたいした結果は望めない。特徴が出るデータを採ろうとしたとき「ここを測定すれば良い」と解っているのに測られていないのは「市販のセンサーが無い」「測るのが難しい」という理由である事が多い。この状況を打開するには新たなセンサーの開発や測定装置の開発が必要になる。過酷な環境が故にセンサーが目に見えて劣化しても、測定値の精度が荒くても、インライン・センシングで測定値を大量生産すればデータ解析の力で劣化や精度不足を補える可能性がある。従来であれば「測定」と言える程の精度が得られずに諦めていたとしてもデータ解析の力を借りれば「役に立つ測定器」に変身する可能性がある。データ解析に役立つインライン・センシングが今後の開発課題として重要になるであろう。

 インライン・センシングが充実したとしても、測定の絶対値の拠り所はオフラインの化学/物性分析結果である事に変わりは無い。オフライン分析結果を如何に早く解析システムに取り入れられるかが生産の品質を上げるためには重要である。オフラインの分析結果が出るまでは不良品を作り続けてしまうリスクが存在するからである。~後略~

<経験と見解>

 以前、データ活用の取り組みとしてプリント基板製造工場のメッキ品質予測についてフィージビリティースタディーをしたことがあります。目的は突発的な不良発生の対策と製造リードタイムが長いプロセス工程の条件設定への対応です。実際に取り組んでみると抜粋記事のような課題に悩まされました。

 メッキ工程の品質管理項目は温度、電流密度、濃度が主体となります。温度、電流密度は設備で管理されており、設備内に大量のデータがあり、サンプリングレートも分単位で行われています。一方、濃度は作業者が1日に数回メッキ液をサンプリングして、分析器にかけます。サンプル数としては極端に少なくなります。事前に行った現場有識者による要因分析によれば濃度が重要であるとの見解でした。

 当初、データ分析に十分なデータがある温度、電流密度のみを説明変数として品質予測をしましたが、その精度は5割~6割程度でしかありませんでした。更にサンプル数の少ない濃度データを補間などの処理をしてサンプル数を増やして説明変数に加えました。その精度は7割と改善の方向を示しましたが、工場で使えるレベルではありませんでした。現在、工場では自動濃度分析器を導入しました。今後の品質予測精度の向上が期待できます。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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