126工場の自動化レイアウト

 工場の自動化レイアウトについて、「ロボットを活用した生産ライン自動化のレイアウト設計の考え方」といったテーマで東海大学の村山 省己氏の記事が技術情報協会出版の書籍に掲載されています。ここでその1部を取り上げ、自らの経験と見解を記載したいと思います。

<記事の抜粋>

 ロボットを導入して生産性を上げることは誰もが望むことであり、ロボットへの期待は大きく膨らむものである。しかしながら、ロボットを導入しても思うように成果に結びつかないことが多い。作業者の動作をそのままロボットに代替する作業は限られている。ロボットに作業をさせるためには、現状の作業をスリム化し必要最小限のロボットの導入を図る必要がある。すなわち、ロボットを導入する前に、現状の作業を一から見直し、徹底して作業のスリム化を図るための改善を行わなければならない。投資効果すなわち費用対効果の面からも極めて重要な取り組みになる。図1(図略)は、工場の改善活動の主要6つの改善事例について説明する。(詳細略)

1)作業改善:タクトタイム/作業順序/標準手待ち

2)ライン改善:能力確保/CT短縮/作業改善

3)段取り改善:外段取り化/順序段取り/シングル段取り

4)設備改善:ジャストインタイム/小型化/着々化

5)レイアウト改善:多数台持ち/Uの字ライン/整流化

6)レイアウト設計:汎用性/生産性評価/適正投資と自己管理

<経験と見解>

 以前、携帯電話製造のサブ組立ラインの自動化に取り組んだことがあります。そのラインはメイン基板にフレキシブルプリント板を接合するラインでした。接合作業は大型の専用設備で行いますが、部材の供給、接合後のメイン基板の取り出しは作業者が行っていました。

 ご存じのように、携帯電話は多品種対応となるため、専用設備の接合部のアタッチメントを機種に合わせて交換する必要があります。これも作業者が行います。さらに、10本程のメインラインに対して、専用設備を有するサブラインは2ラインしかなかったので、サブラインへの部材集約はもちろん、メインラインへの分配も煩雑となっていました。

 当初工場側は、この専用設備への部材供給と専用設備からの部材の取り出しをするロボットを増設する予定でした。この作業に当たっては、6自由度のロボットが必要であることは、作業分析からわかっていましたが、多品種に対応したハンドリング、部材の配置のばらつきなど、難易度の高い課題が山積みでした。

 そこで逆に、このロボットが持っている機能に合わせて、供給トレイの見直し、レイアウトの見直し、作業動線の見直しなど、サブラインの見直しをしました。当初サブラインの運用は作業者7名で行っていましたが、見直しをかけることによって、ロボットがなくても3名体制で運用できることが分かりました。

 結局、ロボット導入は見送られました。ロボット視点でラインを見直すことで、ロボットを入れずしてコスト削減ができました。これも自動化推進活動の1つと言えます。自動組立の世界的な権威者である牧野先生の言葉です。「自動組立は組立の自動化ではない。組立を自動化するために何かをすることである」

 抜粋記事にある取り組みは、ロボットを活用すると決めることで出来る取り組みでもあるのです。大切なのはロボットを導入しよう、自動化を進めようといった思いがあるか無いかなのだと思います。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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