109 IoT AIを活用した品質改善(解説6)
㈱技術情報協会から書籍「工場・製造プロセスのIoT・AI導入と活用の仕方」が出版されました。その中の「プロセス系工場でのIoT/AIを活用した品質改善への取り組み」について執筆しましたので、数回に分けて解説したいと思います。今回は6回目です。
<抜粋:データ収集>
データ収集の方法には大きく3種類ある。1つ目は、製造ラインの設備に自動的に蓄積されるデータを使用する方法である。通常、加工条件がデジタルデータとして数分単位で設備のハードディスクなどのメモリに格納されていく。その際、各データは製品のロット番号や加工時刻と紐付けされている場合もある(自動データ収集)。
2つ目は、現場のオペレータが、加工条件や加工結果を計測器や分析器から読み取り、記録用紙やパソコンに入力していく方式である。データの収集やコストの制約があり、収集量は1日1~3回程度に限られる(マニュアルデータ収集)。
3つ目は、タイムリーに計測されていないデータをレトロフィット技術により読み取り、収集する方法である(レトロフィット技術によるデータ収集)。
製造装置には、例えば、装置の状態が7セグ表示器で表示されているが外部にデータ出力する機能はもっていない、アナログ式の円形メータで表示され同様にデータ出力できない、といったものがある。レトロフィット技術では、従来、オペレータが読み取っていたこれら計測器をカメラで撮影し、決められたサンプリングレートで読み取って自動的にデジタルデータに変換し、メモリに格納することができる。新規に計測器を取り付ける場合に比べ、製造ラインを停止させることなく導入できる点で優れている。
当社にはAMR(Analog Meter Recognizer) といったツールがあり、これを用いたデータ収集の例を示す(図略)。製造現場では、これら3つの収集方法が混在していると考えられる。
<解説>
品質の異常予兆検知を行うには、AIによるデータ分析で学習に用いる加工条件、状態データとそれに対応した加工結果のデータが必要となります。加工条件、状態データには加工結果との相関性がある項目が含まれていることや、データ分析を行うための十分なデータ量があることが求められます。そのため、データ棚卸や要因分析を行った結果、データの項目数やサンプル数が不足していた場合には新たにデータを収集する必要があります。
収集したデータにどのような項目が含まれているか、計測内容、単位、桁数などを正確に理解しておく必要があります。設備で自動的に収集されるデータは、得てして日常の運用シーンでは利用されず、現場の技術者でも十分把握してない場合があります。設備メーカーのヒアリングを含めた調査が必要となります。
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