108 IoT AIを活用した品質改善(解説5)
㈱技術情報協会から書籍「工場・製造プロセスのIoT・AI導入と活用の仕方」が出版されました。その中の「プロセス系工場でのIoT/AIを活用した品質改善への取り組み」について執筆しましたので、数回に分けて解説したいと思います。今回は5回目です。
<抜粋:現場の現状分析2>
品質不良の要因分析:データ分析で有益な結果を導き出すためには、どのデータを分析に用いるか選定することが重要なポイントである。要因分析を行うことにより、データ選定の判断材料を得ることができる。
品質不良とは、製品の特性が設計上の許容値を逸脱したことである。たとえば金属の強度であれば、想定される負荷のX倍の強度を設計値としたとき、それを外れた状態が不良となり、外観検査では、見た目で許される傷の大きさが許容値となり、それよりも大きな傷があると不良とみなされる。不良品を作らないためには、許容値を超えないよう品質を管理すればよいのである。ものづくりの品質不良には大きく2つの要因があり、要因分析はこれらを起点に進めることができる。
1つ目は設計要因である。設計上求められる許容値が厳しすぎると製品を作るのに難しくなってしまい、逆に許容値が緩すぎると製品としての性能が不足してしまう。したがって、設計は適正値にすることが求められる。
2つ目は製造要因である。製造では、加工品質が許容値の範囲に入るよう、決められた仕様の理想にいかに近づけてバラツキなくものを作るかが求められる。しかし、実際に製造現場では、これを十分に満足することは難しい。
私たちは、特性要因図、いわゆるフィッシュボーンを作成して要因分析を実施した(図略)。中央の背骨から下に設計要因を、上に製造要因を表記し、さらに製造要因は4M(Man/Machine/Material/Method)の観点を取り入れて製造工程毎に分析を行った。そして想定される要因をできるだけ多く抽出した上で、現場のベテラン技術者や有識者の意見を聞きながら、各要因に重要性の優先度をつけていった。
<解説>
要因のなかには製造設備が起因することもあります。その場合の分析としてFMEAがあります。膨大なデータを使って品質の予測、設備の故障予兆を求めるために、仮説を立てて要因を絞ることは効率の面でも信頼性の面でも重要です。さらにその作業を通して、今まで気が付かなかったことが見えてきたり、先入観などを払拭したりすることができます。ものづくりの中にIoT AIを導入するに当り、特性要因図による分析、FMEAは必要なプロセスだと思います。
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