098ライン生産、セル生産、混流生産

 多品種少量生産に対応するため、今のライン生産方式からセル生産方式に変えていく必要があるといった声が聞かれます。これは従来の専用ラインによる生産方式から混流生産方式に変えると言い換えることができると思います。話を進める前にここでの多品種少量生産の前提条件を明確にします。少品種多量生産とは同じものを1日に100個作ります。一方、多品種少量生産とは1日に10種類の製品を各10個作ります。したがって両者ともトータルで100個の製品ができます。トータルの生産量は変動しないという前提です。

 ノートPC、スマホのような電子機器のように、外見上似ていますが、機能、性能、形状、色が違う製品が増えてきています。たとえば、かつてはA、B、Cの3種類の製品を3本の製造ラインで製造していたものが、市場の要求によってA1、A2、A3、B1、B2、B3、C1、C2、C3の9種類になった場合、AラインでA1~A3、BラインでB1~B3、CラインでC1~C3を製造するようになります。さらに、3ラインとも同じように9種類の製品に対応できないかという考えが出てきます。これが混流生産です。混流生産の優れている点と課題について考えてみます。

<優れている点>

・3本とも同じラインを構築すればよく、部品も同じものを各ラインへ供給できます。

・トータルの生産量が同じであれば、今日はA1を多く生産するがC1は生産しなくてもいい、明日はA1を少なめでB3を多めで、といったように変量に対しても対応できるようになります。あくまでトータル生産量が同じ前提です。

<課題となる点>

・全製品の組立ができるように、ラインの各工程の作業者に教育をする必要があります。

・トータルの生産量が変動しないように、生産計画を立てる必要があります。

 以前、ハードディスクドライブの自動組立ラインを開発した経験があります。ハードディスクはその容量に応じて円板の搭載枚数1枚~6枚で対応していました。円板は表裏2面が記憶媒体となりますが、円板の製造上、表面または裏面に不良があり片面が使用できない場合が発生していました。この場合片面だけでも製品として使い、円板の廃棄を極力減らそうといった考えが出てきます。結果、0.5枚、1枚、1.5枚・・・といったように品種が倍となります。幸い、自動組立ラインはプログラムの変更のみで対応することができました。

 セル生産、混流生産とも作業者にとって難易度は高くなります。そんな器用な作業者は数名しかいないと考える経営者がいると思います。が、たとえば、駅構内のそば屋さん、居酒屋を見るとマスター1人で数10種類のメニューをこなしています。人は教育、訓練すれば、その潜在能力を如何なく発揮するものだと思います。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

ものづくりの普遍のテーマに取り組んできた生産技術者の備忘録です。 スマート工場に向けた自動化、IOT、AIの活用について記載しています。 ご相談は下記のシマムラ技術士事務所へ。 It describes Automation and IoT/AI for smart factories. For consultation, please contact the following office.

0コメント

  • 1000 / 1000