096 IoTの展開方法

 大手メーカー企業には、グループ工場のものづくりを統括するコーポレートとしての生産技術部門が必ず存在します。全グループのものづくりの標準化を進めたり、グループ共通の技術を導入したりします。ものづくりの標準化には、JIS ISO準拠の各社設計、製造の標準を作成し普及させます。共通技術とは、TPS、ロボット技術、そしてこれから展開が期待されているIoT AI技術があります。

 コーポレート部門が、全グループへ共通技術を展開する方法はいくつかあると思います。TPSの場合は3つの方法がありました。1つには全国のグループ会社のトップが集まる月1回の生産革新大会、2つにはTPSのスキル認定活動、3つには工場間改善研究会です。(ブログ№058参照) 中でも1つ目はTPSの普及だけでなく、ロボット、IoT、AIの展開にも共通に使えるものだと思います。その詳細を再掲します。

・・・・・・・全国のグループ会社のトップが集まる月1回の生産革新大会です。ここでは、各会社の在庫状況をはじめとした年初に設定したKPIの目標に対する進捗の報告や、各社からの取り組み状況について発表がありました。また、過去1か月間の活動成果に対し各会社の順位付けをして、その場で公表をしていました。各会社のトップの前で順位を公表することで、真剣に活動に取り組まざるを得ない環境を作っていました。その場はまた、トップ同士が議論できる場でもありました。この活動はのちに、開発革新活動、間接革新活動へと展開していきました。・・・・・・・

 IoTで何をやるかにもよりますが、たとえば、IoTで原価低減に取り組むとします。最初に各グループの代表が自部門のロス、ムダを明確にして、それを月1回トップが集まる場で報告をする。材料に関しては、投入材料に対して製品化される割合はどうか、売り上げに対する人件費、エネルギー費はどうかなどです。製造する内容により数値に違いがありますが、各グループの目標値を設定して、具体的なIoTの取り組みを計画しスタートです。毎月各グループ進捗状況を持ち寄ります。他グループのIoT活動に効果があれば真似をすればよく、進捗が思わしくなったら他グループからアドバイスをもらうといった活動を継続すればよいと思います。

 併せて、コーポレート部門は革新的な改善を図るため、研究部門、外部団体とも連携して、IoTの新技術導入に関してフィージビリティースタディーをグループ会社のモデル工場で実施します。同じく月1回の集まりの場で報告します。

 品質の良いデータを収集し分析することで、今まで以上に材料、エネルギーなどの適正化を図り、それを継続することがスマート工場の実現につながります。グループ全体が同じ様に展開するために、コーポレート系の生産技術部門の役割は大切です。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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