095 IoTと標準化

 学生時代に自動車部に所属していました。授業が終了すると自動車の整備と改造をして、22:00以降はダート走行(林道走行)の訓練をするといった日々を過ごしていました。自動車を整備する中で、最も閉口したことの1つにメートル系のネジ、インチ系のネジ、また、それに関わるツール類の取り扱いがありました。当時はまだ自動車にインチ系のネジを使うこともあり、部室のネジ箱、工具箱の中にはそれらが一緒になって入っていました。そのため、メートル系のタップにインチ系のネジを締め込んで、ネジが取れなくなってしまうことが度々ありました。今でもタイヤの大きさや、ホイールハブのPCDはインチ系で表現されています。GM、クライスラー、フォードといったメジャーカンパニーの影響は大きなものです。

 しかし、入社後生産技術部門の試作工場へ行ってみると、見事にインチ系とメートル系の部品とツールが分けられ、管理されており、現場では何のストレスもなく使い分けていました。(インチ系はほとんど使われていませんでしたが) そういえば、鉛フリーはんだが出始めた頃、鉛フリーに関連する作業、使用ツールは、そうでない作業と見事に分けられ、管理されていました。同じことが、IoTの社会でもいえるのではないかと思います。

 今後のIOT社会と標準化について「IoTの本」(山崎弘郎著)につぎの記載がありました。

・・・・・・・IoTの社会では、産業の価値はモノからサービスに移ります。サービスの種類は多様ですが、差し当たり、売った製品の機能や補修やバージョンアップ、新規機能の追加などがあげられます。サービスはネットワークを介して要求され、提供されます。また、メーカーは製品にセンサーを取り付け、ネットを通して状況を監視し、効率よく補修を実行します。・・・・・・・

・・・・・・・IoT社会を目指す動きは、動きを先導している米国、ドイツそして日本で少しずつ変わりますが、本質は変わりません。・・・・・・・

・・・・・・・米国はインダストリアル・インターネットと称し、世界のデファクト標準を狙っています。ドイツが目指すインダストリー4.0は第4次の産業革命を意味するものづくりの効率化で、国際標準化を目指していいます。日本はソサエティー5.0を目指すと称しています。ドイツの4.0以上を狙い独自性を主張していますが、内容は抽象的で、目指している超スマート社会も内容がややわかりにくいのが残念です。・・・・・・・

 米国のGEをはじめとするメジャーカンパニーが作り上げるディファクトスタンダードなのか、ドイツの国際標準になるのか、今の段階ではわかりません。日本の場合はその両方を受け入れればよいのだと思います。国が、この産業分野は米国に倣い、別の産業分野の場合はドイツに倣うといったルールを、またはこの製品の場合は米国、あの製品の場合はドイツといったルールを明確にすれば、インチ系、メートル系の時と同じ様に、日本の現場は自ら工夫して、何のストレスもなく使い分けることができると思います。

 ディファクトはメジャーカンパニーに、国際標準は英語圏中心に進めてもらいましょう。複数ある標準をうまく活用するルールが日本の標準化かもしれません。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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