087自動化AI化に必要なこと
以前ブログ№053で紹介したように工場はプロセス系と組立系の2つのタイプに分けることができます。設備集約型と労働集約型と言い換えることもできます。
プロセス系には、鉄系、非鉄系など、原材料から精製して均一素材を製造する工場や、その資材から単一部品を作る工場があります。さらに、半導体やプリント基板の様に、複数の素材を使い、化学反応、電気的な処理を施してものを作ることもあります。いずれも、専用設備がなければ、ものづくりができない工場です。
一方、組立系の工場は、数多くの部品を集めて組み付け、検査を通して最終製品を作る工場です。多くの場合、人手作業となるため品質の安定化は作業者のスキルに頼ることになります。特にパソコンやスマホのように多品種変量生産のラインとなると、自動化の難易度が高くなり、長年、人手作業から脱することができないでいる場合が多いと思います。
以上から考えると、人(アナログ)と機械(デジタル)の特徴は次の通りだと思います。
人 ;超汎用性/判断力/自律行動/改善活動(QCD)/技術技能の習得力
ビンピキング、柔軟物ハンドリング能力/想像力/創造力/芸術性
機械:高速/品質安定化/重量物ハンドリング/高精度/24時間連続稼働
耐環境性(高温、定温、放射能、真空、高所、クリーン)/単純繰り返し
今後、組立系も自動化が進み、プロセス系、組立系とも最適な製造条件の設定はIOT、AI技術により実現されていくと思います。ただ、自動化設備、ロボットの動作を教示したり、最適製造条件を解析するためにAIに学習させたりする必要があります。現状、ものづくりのベテランや匠が先生となって教示や学習させています。人による教示、学習指導が続く限り、先生の育成が必要になります。
ものづくり先生を育成するためには、ものづくりの開発現場、実践する現場が必要となります。その現場はアナログの現場、マニュアルの現場であって、ベテランや匠が持っている創造力を養う場でないといけないと思います。創造力をもって新技術・技能を開発し、ロボット、AIの特徴を生かす方向で教示、学習させるといったサイクルを作らないといけないと思います。技術、技能は何もしなければすぐに陳腐化してしまいます。現在のベテランのスキルノウハウをロボット、AIにすべて叩き込んでも、以降の成長は期待できません。
ものづくりのベテラン、匠がいなくなるので、いるうちにロボット化、AI化を進めますはおかしな話で、ロボット化、AI化を進めるためには、ベテラン、匠を育てることが必要です。ロボット技術の専門家、AI技術の専門家はものづくりの専門家ではありません。
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