084工場見学(その2)

 工場見学について、先のブログ№039ではIE視点、自動化視点、データ活用視点で工場を見学したらどうでしょうかと記載しました。今回は製造の原価といった視点で見てみたらどうかと思い考えてみました。この場合、製造の流れ、製造ライン数、タクトタイムが重要です。いずれも見学で確認できます。見学対象は電子機器を製造する工場と想定します。

 電子機器工場は部品の購入から始まり、SMTラインではプリント板へチップを実装する工程があり、続いてロボットによる異形部品実装があります。設備化の比率が高いため2直運用されています。組立ラインは人手による作業が中心となります。サブ組立、メイン組立、検査、梱包の順に製造が進みます。1直運用です。ラインの数は2直運用されているSMTラインは10本、1直運用の組立ラインは20本でラインタクトタイムは1分です。2直運用された実装済のプリント板は、夜間に製造された分は一時的に中間ストアに格納されます。前日の夜のストック分と当日製造された実装済プリント板は払い出され、2本の組立ラインへ投入されます。

 ここで製造原価を算出するための条件を設定します。SMTライン関連は設備数が20台、設備1台は2,000万円とし、減価償却費400万円/年がかかるとします。SMTライン関係に必要とされる人員は設備数の1/2の10人とします。人件費は400万円/年とします。一方、人手中心の組立ラインは、1本あたりの人員が10人、部材供給などの人員は組立の1/2の5人とします。間接人員は直接人員の20%とします。

 原価を計算するためには、材料費、人件費、経費(設備+エネルギー+その他)が必要となります。材料費と人件費+経費の比率は6:4とします。経費の内訳は設備:エネルギー:その他=1:1:1とします。

 

 以上を前提条件としたときに、この工場での製造原価は次の通りになります。

・人件費:(SMT10人/ライン×10ライン×2直+組立10人/ライン×20ライン+部材供給5人/ライン×20ライン+間接人員100人)×400万円/年→24億円

・設備費:SMT設備20台/ライン×10ライン×400万円/年+エネルギー8億円+その他8億円→24憶円

・材料費:(人件費+経費)×6/4→(24憶円+24億円) ×6/4→72憶円

・製造原価:材料費+人件費+経費→120憶円

・製品の年間生産量:タクトタイム1分は1万台/月相当とする 1万台/月×20ライン×12か月→240万台/年

・製品1台当たりの製造原価は120憶円/240万台→5,000円となります。

ぜひ、工場見学で入手した情報を基に、原価計算のモデルを作り、分析してみてください。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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