083大体の計算でOK
義務教育、高等教育を通して、そこでの授業内容が理解できたかどうかを判定するために、テスト、試験があります。その試験、テストには明確な答えがあります。あっている、あっていないで理解度を判定すると同時に、他人との比較で優劣もわかってしまいます。校内の中間テスト、期末テストでは、先生の配慮で、答えは違っているが、考え方、式はあっていると言って、部分点が付く場合もありますが、入試では答えがあっていなければ合格できません。
教育期間を終えて社会に出ると、答えがある問題はありません。自分で課題を見つけ、場合によっては自分でモデル(または式)を考え、データを集めて、計算してみて、その結果がいいのかよくないのかも、自分で判断しないといけません。学校教育とはだいぶ違っているので、最初は抵抗があり慣れないものです。いずれにしても、何らかの数値を出す必要があります。その数値をもとに、次のステップに進むためです。
たとえば、喫茶店に入ってコーヒーを注文して、席についていただきます。店内をぐるりと見回してみると、同じ様な人が10人います。喫茶店にいる時間が1人30分だとし、コーヒー1杯500円、お店の営業時間が10時間で年300日営業していると仮定したら、この店の売り上げは500円/1杯×10人×20回転/日×300日→3,000万円/年となります。
たとえば、市営バスに乗ります。運賃220円で10人のお客さんが往復乗車するとします。バスは1時間に3回運行され営業は1日に16時間です。年365日運行されます。市のバス系統は全部で100系統です。10人/1台×440円/往復×3回/時間×16時間×365日/年×100系統→77憶円/年がバス事業の売り上げです。
喫茶店の店員、バスの乗務員が何人必要で、どんな設備がどのくらい必要かも見ればわかります。その結果、収益がどのくらいで、どの程度の税金を納めなければならないかも大体わかります。国税がみて、納税額とかなりの乖離があれば、次のステップとして具体的な調査に入ります。大体の計算の必要性はここにあります。
機械設計の場合も同じです。動きのあるものを設計する場合、その物体がどの程度のイナーシャを持っているか計算することが必要です。その物体をある加速をもって動かすために必要なトルクを導き出し、そのトルクに見合ったモータを選定するためです。重要なのは、モータ軸に直接取り付ける物体のイナーシャは正確に計算する必要がありますが、減速機などで減速された後のイナーシャはモータ軸換算で1/2乗となるので、大体の計算でもオーダーさえ合っていれば問題がない場合が多いです。
公差計算の場合も同じです。ロボットを使って、部品をワークの穴に挿入するなどの組立作業を行う場合に、公差や誤差の積み重ねの計算をして組立の信頼性を確認します。積み重ね(合成)の計算に通常は二乗和平方を使います。ここでも公差、誤差のオーダーを間違わなければ問題はないと思います。(公差、誤差の項目数は重要です)
大体の計算でOKです。計算することが大切で、数値化した結果を見て次のステップに進むことができます。
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