063流し方とAGV

 組立系工場の部材供給には大きく二つの方式があります。ロット単位で供給する方式とキッティングして供給する方式があります。

<ロット単位で供給する方式>

 部材をロット単位でストッカーからもしくは、受け入れ後にそのまま製造ラインの各工程の部材の棚へ供給する方式です。組立の作業者が作業に応じて部品をピッキングして、組付けていきます。部材の形状、大きさによって部材数が違ったり、トレイの大きさが違ったりします。部品入荷から大きく荷姿を変える必要がありません。部品点数も少なく機種変更が少ない製造ラインでの運用される方式です。

<キッティングして供給する方式>

 各組立工程の順序に沿って部材をあらかじめキッティングする供給方式です。部材をロット単位でストッカーからもしくは、受け入れ後にキッティングエリアで専用のトレイへ組立順序に詰め替えます。詰め替え後、製造ラインの各工程の部材の棚へ供給します。キッティング専用のトレイの外形寸法、形状を共通化することで、トレイのハンドリング、搬送が部材の寸法、形状に左右されなくなります。部品点数が多く、機種変更が頻繁に発生するラインに適しています。また、トレイを共通化することで、自動化がしやすくなります。ただし、キッティングという詰め替え作業(工数)が発生します。

 次に、AGVについて考えてみます。以下はAGV導入により効果がみられた事例です。事例の一部は明電舎、トヨタL&F のホームページから引用しています。

<問題点・課題>

 搬送距離が非常に長い。コンベアを置くスペースがない。運搬作業が点在している。複数の人間がかかわっている。建屋間の搬送。上下フロア間の搬送。前工程と後工程の情報交換が困難。変更や増設が頻繁。エリアごとに移送の高さが違う。作業者の移動回数削減。サイクルタイムの削減。重量物。低温環境。

<成果>

   AGVなら搬送距離が長くても設備が不要。必要な時に必要な台数の台車を簡単に設定し稼動できる。後工程が必要としているときにAGVが自動で持っていってくれる。3名体制の作業員を1名にすることができました。導入までに僅か半年という導入スピード。従業員にかかる負担を軽減。導入前は2人で行っていた搬送業務を1名に省人化することができた。

   何のためにAGVを導入するのか、必要とする流し方がAGVに適合しているか等をトータルで検討することが大切です。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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