061データ活用の取り組み(その2)

 ものづくりの普遍のテーマは、「いかにコストを削減するか」です。TPSの様にムリ、ムダ、ムラを徹底的に排除する活動や、自動化推進の様に、昼夜を通して安定した品質の製品を提供する取り組み、そしてその同一線上にデータ活用があります。

 「データを活用した取り組みを始めたいが、何をすればいいのか、何から手を付ければいいのか」といった相談が多く寄せられます。一方で、「TPSも自動化も全く進んでいないのに、データ活用はまだまだ先の話です」といった話も聞きます。これに関しては全く逆であって、データを活用して「あんな事もしてみたい」「こんな事もしてみたい」と考えた上で、それを実現するために、どんな自動化が必要なのか、どんな現場改善が必要なのかを考えることが大切です。

 ここでは、各製造工程の情報(データ)を収集して、品質予測(歩留まり予測)することを考えてみます。手順は次の通りとなります。

 ①歩留まり改善を進めるにあたり、課題の抽出と取り組みに優先順位を決めます。課題抽出のツールとしては特性要因図やFMEAを使います。

 ②抽出した課題に必要となるデータを収集します。データ量が足らない場合は、055レトロフィット技術等を使ってデータを収集します

 ③収集されたデータは製造設備ごと、手書きデータごとに様々なデータ形式になっているので統一化します。ロット№、時刻、製造データ、品質結果データが必要です。

 ④データの欠損やエラーなどを修正します。これをデータクレンジングといいます。

 ⑤各ロット№に対して時系列に、どこの製造工程をどんな条件で通過し、その結果製造品質レベルはどうだったかを紐付けします。これらは過去の実績データの紐付けです。

 ⑥分析ツールに機械学習をさせるため、⑤の紐付けした過去の実績データをインプットします。分析ツールは自動的に予測モデルを生成します。

 ⑦ここからは、製造途中のデータを⑦の予測モデルにインプットして、最終検査結果が出る前に、品質レベルを予測します。

 ⑧過去データの紐付けと同じ要領で、製造途中の実データを収集、クレンジング、紐付けします。もちろんここでは品質結果データは含まれません。

 ⑨紐付けされた製造途中の実データを予測モデルへインプットすると、自動的に品質予測結果がアウトプットされます。

 ⑩従来、製造データと品質結果データを統計処理して、日々の品質管理(歩留まりなど)をしてきたと思いますが、品質結果データの代わりに⑨の品質予想結果を使うことで、早めにアクションができるようになります。

 鍵となるのが、予測精度です。予測精度を高めるためには、品質の良いデータが必要です。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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