056トレーサビリティとAI分析
データの見える化の次のステップとしてデータの分析があります。この分析を通して品質予測、設備故障予測をすることができます。予測することで、不良や故障が発生する前に原因となっている工程をチューニングして、不良・故障を未然に防ぐことができます。重要なのはその予測精度です。精度を向上させるためには、要因と思われるデータの品質が良いことと、各工程の製造状態と製品の品質レベルが紐ついていることです。言い換えると、トレーサビリティができているか、またはできるかと言うことです。
<トレーサビリティについて>
時折、食品の異物混入、産地偽装、自動車のリコール回収の発表が報道されています。この時、製品名、機種、製造期間などが報道されますが、これはトレーサビリティの仕組みができているからです。
トレーサビリティとは生産、加工及び物流の角段階を通じて移動を追跡、遡及する能力という生産履歴のことです。製品が完成して販売後に不適合があれば生産履歴からいつ、どこで、どんな作業条件、作業方法で発生したか追跡します。このためには、モノの流れと作業の記録、品質記録と関連づけた工程管理の仕組みが必要です。1個1個生産する個別生産の場合、モノの流れや作業記録の対応は容易です。
ある程度の量をまとめるロット生産の場合は注意が必要です。なぜなら、同一ロットの製品においても、使用する原材料や部品の製造ロットがいくつかのロットにまたがることがあります。品質トラブルが発生したときに手直し、選別、再検査を行う場合、ロットが分かれたり合流したりすることもあります。このような場合、モノの流れと作業記録、品質記録との対応ができる仕組みが必要です。そのためには、原材料、部品、仕掛品、製品の識別を明確にすべきで、記録を確実に行うことが肝要です。
「品質改善の本」日刊工業新聞社より一部引用
AIによるデータ分析ツールは各社から提供されていますが、基本的にはトレーサビリティが取れた過去データを使って機械学習させ、予測モデルを作成します。その予測モデルを使って、現在工程内を流れている製造物の最終品質レベルまたは設備故障時期を予測します。
必要なデータは何か、データの品質は良いか、トレーサビリティが取れているかが、データ活用の課題だと思います。
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