055レトロフィット技術
データ活用に取り組む際、最初にどのようなデータが、どこにあるのかデータの棚卸をすることになります。データの収集方法に関して大別すると2種類あると思います。1つは製造ラインの設備に自動的に蓄積されるデータであり、1つは現場の作業者が機器類から読み取った数値を記録用紙に書き込んだり、パソコンに打ち込んだりしたデータです。一見膨大なデータがあるように見えますが、054で説明した特性要因分析やFMEAから示される重要なデータが、十分そろっていない場合があります。特に作業者が収集したデータは、日に2~3回ほどのデータであり、欠損も多いと思います。
レトロフィット技術といった言葉を聞いたことがあると思います。プロセス系の工場は作業者が計器類を読み取り、データ収集を行いまいます。自動的に収集できるように最新の製造設備に入れ換えればいいのですが、プロセス系の工場の設備は高価であること、設置、調整など導入に多くの時間がかかり、製造ラインを長期間停止させなければいけないといった理由から、旧式の設備を使い続ける工場が多いと思います。そこで、作業者が読み取りしている計器類をカメラで常時読み取り、データを収集することで、旧式設備であっても自動的にデータを収集できるようにするのが、レトロフィット技術です。
この技術には2種類のシステムがあり、専門メーカーから購入することができます。
・ネットワークによるデータ収集…必要とされているデータを表示している計器類のメーターまたは数値をネットワークカメラで撮影し任意のサンプリングタイムで自動的にデジタルデータに変換します。変換されたデータはネットワークを通してサーバ―に格納されます。リアルタイムに状態を監視ができるのが特徴です。
・スタンドアローンによるデータ収集…機器類のメーター数値をスマホで撮影し、任意のサンプリングタイムで自動的にデジタルデータに変換して、スマホのメモリーに格納するシステムです。ネットワークを構築する前に、有効なデータが収集できるか否かを判断する場合に使う安価なシステムです。(ソフトはスマホにインストールされます)
以上のレトロフィット技術は、24時間無人稼働が可能ですが、下記課題があります。
・カメラで撮影する関係上、照明などの環境変化に対応する仕掛けが必要です。
・カメラの読み取り条件(距離、角度)に適合するように、環境整備する必要があります。
いずれにしても、全計器類にカメラを設置することは、コスト面、運用面で得策ではありませんので、収集するデータの必要性を事前に検討しておくことが重要です。
尚、現在読み取れるメーターは、針型のアナログメータ、7セグ、フロートメータ等です。
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