054特性要因分析・FMEAとAI分析

 ものづくり現場でデータをどのように活用するかが決まっていない状態で、差し当たって「見える化」をして、そこから何か発見があるだろうといった思いでデータ活用に投資する場合もあると思います。この場合、投資のための稟議書作成で頭を悩ますこととなります。

 例えば、「品質の安定化を図り、工程内の歩留まり向上や突発的なライン停止を防ぐために、AIを使って現状の見える化だけでなく、将来の見える化もしたい。従来から取り組んでいる特性要因分析やFMEAといった手法で、必要なデータを選定した上でAI分析で効率的かつ精度良く品質予測や、設備故障予測をしたい」といったように、従来の品質改善活動の一環であることを含んだストーリーにしておけば、費用対効果も算出しやすく、今までの活動で得たデータを有効に活用できる点で、トップに納得してもらえるのではないでしょうか。

<AIの品質予測の効率化と高精度化を図る特性要因分析>

 不具合が発生した時、その原因として候補がいくつも想定できる場合、それらの原因候補が一覧できるように整理しておくと、原因の究明が容易になります。原因候補つまり問題とする特性を系統的に整理し、図で示すのが特性要因図です。ここで要因とは重要な原因を意味します。特性要因図は問題とする特性とそれに影響を及ぼしていると思われる要因を整理して、お互いの関係が分かるように体系づけた図です。QCストーリーでよく使われる手法。特性要因図はその形が魚の骨に似ていることから、魚骨図ともいわれている。

 「品質改善の本」日刊工業新聞社より一部引用

<AIの設備故障予測の効率化と高精度化を図るFMEA>

 FMEA(Failure Mode Effect Analysis)は「故障モード影響解析」のことです。システムの機器、部品などの故障の要因(故障モード)を抽出して、システムを構成する機器や部品が故障した時どのような影響を及ぼすかを解析し、大きな影響を及ぼす機器あるいは部品を抽出する手法です。つまり、新しい仕事をするときは、必ず問題が起きると考え、予想できることは事前に解決しておくという考えです。適用対象は製造工程の不良予防、設備故障、検査システムの改善、災害防止などがあります。

 「品質改善の本」日刊工業新聞社より一部引用

 Ai分析の品質予測では、過去のデータを機械学習させて予測モデルを作成します。この予測モデルに、各工程の現状の製造データを入力することで、最終検査工程で不良がどのくらい発生するかを予測します。AI分析に設備故障予測では、同じく予測モデルを作成し、設備の現状のデータを入力することで、故障時期が近いことを知らせます。

 品質予測では、製造リードタイムが数週間におよぶ場合に効果的です。上流工程でチューニングした結果が数週間待たずしてわかるため、品質が安定するまでの期間を短縮できます。設備故障予測では、保守部品を安全を見越して早め早めに交換していたものが、ぎりぎりまで使えるようになるため、部品代と保守工数が削減できます。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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