029 DTF (Desk Top Factory)
DTFは机上の製造ラインのことで、多品種少量の小型デバイス向けの生産方式の1つであり、2000年代初頭に研究会を通じて各メーカーで開発が進められていました。現在は、半導体製品を対象として、DTFの考えを取り入れた製造設備が提供されているようです。以前、同様の考えの下、部品実装組立セルを開発したことがあります。当時、このテーマで投稿した論文から課題と開発コンセプトを抜粋してみました。
(生産変化に対する課題) 大手電機メーカーでは、小型デバイスの実装組立に高速・高精度なダイボンダーを用いることが一般的でした。ダイボンダーは大量生産向きですが、高額な初期投資を必要とし、安定稼働までに時間がかかり、設備サイズが大きいなどの理由により、試作レベル、多品種変量生産に向いていません。最近は、機械要素のモジュールや、小型汎用ロボットを使って、試作、多品種変量生産向けの設備が容易に開発できるようになりました。しかし、センサーデバイスの様に実装精度そのものが、製品の性能を大きく左右させる場合、市販モジュールや汎用ロボットを使うことはできません。
(開発コンセプト) ①品種の変更に対し、工程の組み換え、追加が迅速に行えるように、工程共通のサイズでトランスポータブルなセルを設定し、それをベースマシーンとする。 ②高精度位置決めエリアの選択と、それを応用したピック&プレース機構の開発。③ワーク、パーツの両方のポジションを認識するカメラ機能を採用。
以上の課題、コンセプトに従って開発した部品実装組立ラインは、加速度センサーやジャイロセンサーの実装組立に適用しましたが、間もなく本製品の市場からの撤退に伴い、本格量産に至りませんでした。
15年前の部品実装組立セルと、5年前に開発した多機能組立セルを比較してみました。なお、多機能組立セルは別途ブログします。
① 多品種変量対応…(部品実装組立セル)セルの組み換え、追加で対応。(多機能組立セル)ツールチェンジによる対応
② 高精度化の対応…(部品実装組立セル)高精度位置決めエリアの選定。(多機能組立セル)パラレルロボット採用による高速・高精度化
③ 認識機能の対応…(部品実装組立、多機能組立セル共通)ワーク、パーツ認識
となります。いかがでしょうか? 将来はどのような技術がでてくるのか楽しみです。
参考:「部品実装組立セル」:特開2005-064287
https://www.fujitsu.com/downloads/JP/archive/imgjp/jmag/vol56-6/paper08.pdf
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