030モーター選定と外注指導
クリーンルーム内での製造が必要となる精密電子機器の自動化ラインを開発した時、コストと納期の点で、外注エンジニアに協力をお願いしないと成り立ちませんでした。
以前、ハードディスク組立ラインの1つの設備であるバランス測定・修正の設備を担当したことがありました。円板上の媒体を回転させ、バランスを測定し、アンバランス量とアンバランスのポジション(位相)を算出します。次にアンバランス量に見合ったカウンターウェイトを取り付けます。その昔のモデルは、金属片型のカウンターウェイトで、媒体を固定しているハブの溝へ、マニュアル作業でUV接着していました。当時最新のモデルは、自動化しやすいように、Cリンク形状のワイヤ製のカウンターウェイトで、ハブの溝へパッチン止めするようになっていました。
これに伴い、設備もその昔のモデルとは大きく変わりました。アンバランスの情報をもとに、数十種類におよぶこのワイヤ製のカウンターウェイトを、収納されている棚から縦型のXYZロボットがピッキングし、カウンターウェイト装着ロボットへ受け渡します。この装着ロボットが、ハブの溝へパッチ止めするといった方式となり、完全自動化になりました。
以上の通り、この設備の場合、2つのロボットが搭載されています。1つはカウンターウェイトをピッキングする縦型XYZロボット、もう1つはカウンターウェイト装着ロボットです。このうち、縦型XYZロボットの設計を外注へ依頼しました。依頼に当たり、要求仕様(方式、サイズ、サイクルタイム、可搬重量など)と基本設計仕様(使用するモーター、ガイド、ボールねじなどの基本要素の選定)を提出しました。
詳細設計の段階で、外注エンジニアから問い合わせがありました。垂直方向に移動するY軸機構が選定したモーターではトルクが不足し、サイクルタイム内で動作が完了できないとの内容でした。詳しく設計内容を聞くと、メーカー保証の定格トルク以内で設計しているとのことでした。そこで、瞬時最大トルクを含めた実行トルクで設計するように伝えましたが、納得がいかないようでしたので、詳細計算してレポートを作成し、モーターメーカーに判断してもらうように、そのエンジニアに依頼しました。
数日後、そのエンジニアから、「モーターメーカーに問い合わせたら、あの計算でいいそうです。当初のモーターで図面を引いてみます。」との連絡がありました。彼にとって、モーターメーカーからのOKの返事があればよかったのです。
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