014輪島・フリーフローライン

 かなり昔、石川県にある大型計算機を製造する工場へ、新規設備の導入の件で訪問したことがあります。同時に工場の生産ラインを見学させていただきました。大型計算機を製造する場合にも頻繁に機種変更が伴うとの話を聞きました。

 一緒に工場を見学していた同僚に、どのように機種変更に対応するのだろうかと尋ねた時、その現場に詳しい同僚から「ワジマにするのです」との答えが返ってきました。専門用語はわからないと言うと、「大相撲の横綱輪島大士のことです。彼は私生活の乱れで、一度どん底に落ちたのです。しかし、再度心を入れなおして、大横綱になったのです。」転じて、製造ライン上の物を一旦すべて払い出し、先頭工程からワークを流し直すことをワジマと現場の人達が言っているそうです。機種変更の段取り替えが、いかに大変であるかを石川県出身の横綱で表現しているのです。

 以前取り組んだ、ハードディスクの自動組立ラインでは、フリーフローラインを採用しました。フリーフローラインとは、工程間にバッファを持たせ、自工程の作業が終了するとバッファにあるワークを自動で搬入し、作業が始まるスタイルのラインです。

 自動化のラインと言っても、工程間に人の手が入る箇所がいくつかあり、その作業のばらつきを吸収するためバッファが必要となります。またロボットの工程においても部品の取り損ねなどの作業ミスが発生すると、自動で再トライするので、やはり時間のばらつきが発生するため、バッファが必要となります。機種変更の場合はワークの代わりに、ラビットというダミーを先頭から流します。各工程で、このラビットを確認して順次段取り替えを行います。

 現在、組立系のラインではほとんどが順次段取り替え方式が採用されていると思います。一方、プロセス系(液体や粉体製品)のラインでは、洗浄等の関係で、いまだにワジマになってしまうと思います。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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