013集中制御・分散制御
自動化設備を開発する時、早期に決めなければならない項目の1つに、集中制御にするか分散制御にするかがあります。自動化のシステムとは、ワークの搬送機構、パーツ供給機構、ハンドリング機構、組立機構、検査機構から構成されます。制御は、システム全体のシーケンスを制御するメインプログラムに、各機構のシーケンス制御(サブルーチンプログラム)がぶら下がる形となります。
メインプログラムとサブルーチンプログラムとのやり取りは、レディー、ビジー、エラーの3つの信号で行われます。ここで、メインプログラムとサブルーチンプログラム全体を1つの大型プログラマブルコントローラ(PC)で制御する方式を集中制御と呼ぶこととします。一方、メインプログラム、サブルーチンプログラムの数だけPCを用意して制御する方式を分散制御と呼ぶこととします。
精密電子部品をワークに接着する自動化システムを若い時に開発したことがあります。ワークの搬送機、パーツ供給機、パーツハンドリングロボット(SCARA)、接着剤塗布機、加圧機から構成されるシステムで、メインプログラム、各機構のプログラムの設計にそれぞれソフト設計者をアサインしました。システム構成上何ら問題はありませんでした。が、ソフトデバッグ作業が非常に大変でした。なんといっても、PCは1台しかなく、設計者がかわるがわるデバッグをする必要がありました。同じく、顧客先での立ち上げ、不具合対応などでは、かなりの時間(工数)がかかってしまいました。
後に、プリント板に数種類のラベルを貼付し、小型部品を搭載する多機能組立システムを開発しました。回転型プリント板搬送機、パーツ供給機3種、ハンドリングロボット(ゲンコツロボット)、ツールチェンジャーから構成されるシステムで、それぞれの機構には小型のPCを搭載しました。以前と同様、それぞれの機構にソフト設計者をアサインしましたが、並行にソフト開発ができました。
PCの小型・低価格化が分散制御にした1つの理由ですが、以前においても、顧客へのサービス、トータル工数などを考えた開発をしていれば、分散制御になっていたと思います。
0コメント