005公差の話
機械設計者であれば、最初にぶち当たる壁の1つに寸法公差があると思います。製図や力学の計算は大学で学ぶので、ある程度はできますが、部品図を作成する場合の寸法公差はどのように決めればよいのでしょうか。当然、公差の積み重ね計算で求められるものもありますが、ほんの一握りでしかありません。公差はすべての寸法に付与しなけらばならず、悩ましい問題です。
1つには、かなりの経験を積まないと適切な公差を寸法に付与することができないということです。穴と軸のはめあわせが、よい例です。すきまばめ、中間ばめ、しまりばめなどがあります。軸を穴の中でガタなく、回転させたい場合、軸と穴とでどのような公差を選んだらよいのかは、実際にものを作ってみて、自分の手でガタの具合、回転具合を覚える必要があります。そして、その具合で実際に機械に組み込んで、目的とする動作をするかを確認する必要があります。また、公差は上限、下限があるので、その影響も確認する必要があります。最初はベテラン設計者の公差記入をまねることも重要であると思います。
治工具を設計する場合は、IT基本公差を使うことも1つの手です。IT公差は寸法ごとに公差が定められており、等級が小さいものほど高精度の治工具となります。当然、高価なものとなります。入社当初、先輩の寸法公差は小数点3桁まで記入されており、どうやって計算しているのだろうと、長い間疑問に思っていましたが、IT基本公差を適用していたのだと後程わかりました。
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