004公式の必要性 カンを養う
「2倍の質量の物を持ち上げるためには、2倍の力が必要だ」「2倍の速さで走れば1/2の時間で目的地に着く」など、リニアな関係にある事柄については、カンが働きやすいと思います。一方で、乗数に関係したり、平方に関係したりすると、途端にカンが働かなくなります。
材料の曲げ強度の場合、断面が円形の片持ち梁の直径を2倍にすると、梁のたわみ量は1/16になります。断面が長方形の片持ち梁を曲げ方向に2倍の厚みにすると、梁のたわみ量は1/8になります。動力学で言えば、イナーシャは減速されると減速比の2乗分の1になります。標準偏差も3σから4σになると不良の発生率大幅に改善されます。
力学にしても統計学にしても公式(モデル)があります。パラメータをどの程度変更すると、どの程度の効果が得られるかを察することができます。これが設計者のカンとなります。数多くの設計経験がある技術者は、このカンが鋭いといえます。カンが鋭いということは、詳細な計算を行わなくても、構造体、機構などを短時間に数多く創り出すことができます。出来上がった設計図を見ると、ムダがなくバランスがよいものとなっています。
若手の設計者は、とにかく多くの設計、計算をこなし、カンを養ってほしいと思います。
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