484国際ロボット展(ラインの展示状況)

 展示会に足を運ぶユーザーが期待している点の1つは、実際の現場で活用できそうなアイデアや工夫が詰まった展示またはデモンストレーションを観察することです。

 三菱電機は、搬送台車に搭載された5台の産業用ロボットと1台の協働ロボットで構成されたマウスの組立ラインのデモンストレーションを行っていました。サプライチェーンのデータと連携することでリアルタイムに変種変量への対応が可能であるとの説明がされていました。供給はトレイに必要な部品をキッティングしライン先頭から供給するタイプで、コンベアで搬送しながら順次組立が行われます。キッティングエリアは協働ロボットとオペレータ(人)が協働で棚から部品を集めトレイにキティングし、コンベアに搭載していました。組立ラインでは産業用ロボットが自動で組立をしていました。組立ラインの床は赤と黄の2色に塗り分けられており、人が黄の床に入ると産業ロボットの動作スピードが低速になり、赤の床に入ると停止するといた安全対策が施されていました。サプライチェーンからの情報はエッジクロスをハブとして生産現場とつなぎ、生産量の変動に対しロボットの増減を柔軟に行うという話でした。ものづくりにおけるDXの例として変種変量生産を取り上げており、DXを理解する上で非常に役立つデモンストレーションでした。

 IAIは、直交ロボットと直動ロボットを徹底的に使った同期型のラインのデモンストレーションを行っていました。組立工程に5台ほどの直交ロボットを配し、工程間の搬送には直動ロボットによる竿送り機構、搬送トレイを循環するための上下トランスファ機構には、小型の直動ロボットを機構要素の1つとしてカムと組み合わせるなど、設備設計の自由度の高さを表現したラインでした。設備設計部門のエンジニアには興味深いデモンストレーションになっていました。IAIは従来エアスライダで設計されていた各社設備を電動化に置き換えることを戦略としています。電動化による制御性の良さはもとより、環境面の改善、価格面においても大幅な改善がされているとのことです。

 YAMAHAはSCARAロボットを中心に垂直多関節ロボット、直交ロボット、リニア搬送機構など多彩なラインナップを取りそろえ、低価格で提供するといったビジネスを展開しています。デモンストレーションでは、搬送治具を循環させる上下トランスファ機構を持った高速リニア搬送機をベースにSCARAロボットを配し、電子部品を検査していた。まるで現場からそのまま持ってきたような機械を見ることができました。もちろん設備の外周はアクリル製の安全柵で囲われて、協働ロボットの動作とは違う機械本来が持っている性能を見ることができました。

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