368 Industrie4.0(ビジネス起点)
ドイツ標準化ロードマップ Industrie 4.0 Version 4解説書がIEC/SyC SM国内委員会から発行されました。「本標準化ロードマップはDIN/DKEおよびドイツ国内の標準化の取り組みを内外にアピール、プロモートする媒体としての役割も担っているが、産業用のIoT活用という視点でドイツ国内や欧州に閉じたものでなく、広く世界に理解と協力を呼び掛けた内容になっている。」と説明されています。この解説書の中に次のような記載があります。
〜中略~ Industrie 4.0では、常にビジネス(主に製造業を中心とした、その経営)を意識しており、ビジネスを起点にして、ユースケース、機能、実装などと順に下位展開される。逆に言うと、上位を定義せずに機能を議論することはない。~以下略~
以上 解説書より
ここでは上記の「ビジネス起点」について記載します。生産技術や製造などのコストセンターとなる部門では、ビジネス起点とした考え方が十分行きわたっていないことが多々あると思います。たとえば、中期計画などで活動目標を決める際に、工場の棚残を**%削減とかリードタイム**%削減といった独自目標を掲げます。が重要なのは、それがどれだけその会社に効果があるかについて具体的なストーリーがあるかといった点だと思います。経営層はどのくらいの投資で、いくら儲かるといった視点で活動の効果判断を行います。
以前、プリント基板製造の工場の品質改善に取り組んだことがあります。プロセス系の工場で旧設備を使いこなして製造を進めていましたが、品質安定化の推進に限界が来ていました。新規設備を導入するには大きな投資が必要となるため、過去から蓄積してきた製造データを活用して製造工程内の品質を予測するシステムを構築して、不良を未然に防止するといった取り組みを行いました。
取り組みを推進するに当り、必要となる人員、構築に必要な費用を確保するため、プロジェクト化しました。プロジェクト化には経営層の承認が必要となります。活動による効果見積では、品質の改善(歩留りの改善)で年間数十億の見積もりを算出して、経営層に答申しました。年間売り上げ数兆円、利益数千億円の大企業の経営層にとっては魅力あるものではありませんでした。以降、この品質予測システムのグループ工場への横展開などを考えて効果を積み上げましたが、経営層を満足させることはできませんでした。
ただ、経営層に品質予測システムといった技術的な魅力は伝わっていました。逆に経営層からは、このシステムを外売り方向で考えるように指示がありました。これは、コストセンターである生産技術部門でプロフィットセンターの活動をすることを意味します。以降、産業営業、販推部門などと連携して市場調査し、その結果を盛り込み効果を算出しました。当初より桁違いの見積もり効果額をもって、プロジェクト化が承認されました。
これらの取り組みは、〜Industrie 4.0の、常にビジネス(主に製造業を中心とした、その経営)を意識しており、ビジネスを起点にして〜、 に通じるものだと思います。
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