367 QCD改善の取り組み(生産性)
ものづくりの普遍のテーマはQCD+ES(品質・コスト・供給・環境・安全)の改善であることは周知の事実です。ただ、その定義についてはあいまいの場合が多いと思います。QCDの改善とはものづくりの現場の努力で、ものづくり側、提供される側の両者がうれしい取り組みです。一方ESの改善の多くは行政、業界からの要請により取り組まなければならないテーマ(CO2削減や防火対策など)です。両者にとって直接的、短期的にはうれしい取り組みではないと思います。
さらに、ここではQCDの改善についてそれぞれについて次の様に定義します。
Qの改善:ものづくりの過程(製造工程)内において、製造の安定化を図り不良を削減する取り組み。最終製品の歩留りの改善。
Cの改善:部品、材料、労働力、エネルギーの調達コストを如何に抑えるかの取り組み。
Dの改善:品質やコストを維持し、市場が要求する物量を如何に提供するかの取り組み。
実際にはQCDの適切な改善の組み合わせにより、トータルの改善効果をねらいます。今回は供給の改善について過去の事例を記載します。
<携帯電話製造の供給の改善>
携帯電話のようにボーナス商戦のあるプロダクトの場合、繁忙期と閑散期の生産量の差が5~6倍になることがあります。マニュアルラインの場合、作業者数をコントロールすることが必要となります。この場合通常はラインカンパニー制といった仕組みを適用します。
これは閑散期に製造ライン1本を正社員のみで構築します。以降、生産量が増えた分だけライン数を増加しますが、この場合外注にお願いします。具体的には正社員と同じハードウェア(作業台、部品棚、コンベア、治工具など)と作業スペースをライン単位で提供し、そこに必要な作業を外注にお願いします。生産量の増加に伴い、外注先の会社も1社だけでなく数社がそれぞれのラインを受け持ちます(ライン運用の裁量性もあり)。同じ工場内で外注会社間の競争(QCD)となります。その点でもラインカンパニー制は興味深い仕組みです。
以上の取り組みは、品質の維持といった面では大きな問題はありませんが、作業者が増える分のコストが必要となります。また、閑散期には人員の削減、繁忙期には人員の確保といったマネージメントの問題が発生します。その結果、供給の改善(または生産性の改善)を進める場合は必然的に自動化となります。たとえば、閑散期には現製品のマニュアル製造(正社員)と次期製品に向けた自動化システム改造を行い、繁忙期には、マニュアルと自動化の協調製造といったことが考えられます。
尚、自動化に際し、多品種少量生産に対応した柔軟性のある設備の開発が課題となります。それを解決するシステムの1つが下記の多機能組立システムです。具体的な内容に関しては、本ブログ060シマムラ技術士事務所へお問い合わせください。
参考資料
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jrsj/33/5/33_33_314/_pdf/-char/ja
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