344工場改善活動の課題と展開
一時期IEの業務を担当する機会がありました。その業務はTPSをベースとした生産革新活動をグループ会社へ展開、普及するものでした。
1つには全国のグループ会社のトップが集まる月1回の生産革新大会です。ここでは、各会社の在庫状況をはじめとした年初に設定したKPIの目標に対する進捗の報告や、各社からの取り組み状況について発表がありました。また、過去1か月間の活動成果に対し各会社の順位付けをして、その場で公表をしていました。各会社のトップの前で順位を公表することで、真剣に活動に取り組まざるを得ない環境を作っていました。その場はまた、トップ同士が議論できる場でもありました。この活動はのちに、開発革新活動、間接革新活動へと展開していきました。
2つにはTPSのスキル認定の活動です。各製造現場には、改善活動を推進する部隊とメンバーがいます。そのメンバーのスキル向上のため、TPSの知識や実践能力に対してレベル認定をしていました。単一の製造ラインの改善指導ができるレベル、複数の製造ラインの改善指導ができるレベル、工場全体の改善ができるレベル等です。各自、各部門の活動取り組みへのモチベーションとなっていました。
3つには工場間改善研究会です。あるグループ会社の製造ラインを対象として改善活動をするものです。グループ間の垣根を越えて集まったメンバー10名ほどで1週間の期間を使って、調査、課題の抽出、施策を考え、実際にその製造ラインに手を加え改善します。現場を提供した工場は、省人化、スペース削減などの実質の改善効果を得ることができます。一方、メンバーは実際の改善の進め方、チームワークなどスキルアップを図ることができます。
いずれの活動も部門・メンバーのモチベーションを上げるため、改善をせざるを得ない環境を作り、実益を伴った活動として定着していました。工場の改善活動は終わりのない活動として、今後も継続されていくと思います。
<課題と展開>
TPS活動の1つに、1個流し、小ロット流しといった取り組みがあります。ムリ、ムダを省くための流し方です。多品種少量生産においては機種切り替えを頻繁に行う必要があり、必然的にこの流し方になります。課題はこれによる製造品質の安定性の維持にあります。特にプロセス系などは製品のバラツキを抑えるため、大量にかつ連続的にものを流していました。これを少ロットで流すと投入・排出が頻繁に発生して、バラツキが大きくなります。
これに対応する手段の1つにデータの活用(IoT)があります。リアルタイムに製造状態のデータを監視して、結果との差分を常時修正する方法です。これが将来、スマートファクトリーへとつながっていくと思います。
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