343ものづくりの基礎 (ポンチ絵)
日経ものづくり2021/4号に「ものづくりの基礎が危ない」といったタイトルで次のような記事が掲載されています。
ものづくりに関する技術者の基礎的スキルや知識の低下は、危機的なレベルになっている。そう考える技術者が多いことが日経ものづくりの実施したアンケートで明らかになった。~中略~ 世界市場での厳しい競争を勝ち抜くため、ほぼ全ての製造業が低コスト化や開発期間の短縮といった効率化に取り組んできた。価値を生み出さないムダな作業を、標準化や共通化、デジタル技術の活用によって極力減らしていこうという取り組みである。しかし、こうした取り組みは技術者の基礎力低下を招く懸念がある。
以上 日経ものづくり2021/4号抜粋
さらに記事は次の10のキーワードを取り上げ、解説しています。「ポンチ絵」「デザインレビュー」「モジュラーデザイン」「生産管理システム」「受注生産と計画生産」「安全在庫」「パレート図」「強度と剛性」「焼き入れ・焼き戻し」「工程能力指数」。ここでは、「ポンチ絵」にまつわる過去の経験について記述します。
「ポンチ絵とは、設計の構想を示す手書きの概略図・計画図。組立図や部品図を製図したり3D-CADでモデリングしたりする前、設計検討の際に作成する」とあります。実際はこればかりではなく、アイデアを描き留めるためのメモとしても使えます。
以前、手のひら認証用のレンズユニットの小型組立設備を設計したことがありました。CCD素子とレンズの焦点を合わせ、接着剤を使って固定する機能を持った設備です。別件で大阪に出張した際に新幹線の中で、ふと焦点合わせのギア機構の構造のアイデアが浮かび上がり、手帳の方眼用紙に描き留めました。すると伝達機構、レンズやCCD素子が搭載されているプリント板の把持機構、接着剤を固定するUV照射機構など、次々にアイデアが浮かび上がり、全て描き留めました。大阪に着く前までに、設備の概略の機構と構造が出来上がっていました。
ポンチ絵のいい所は、アイデアが浮かんだら、どこでも、いつでも、すぐに描き留めることが出来る点だと思います。アイデアの信号は非常に微弱であり、ちょっとした動作や時間がたってしまうと消えてしまいます。そして2度とそのアイデアを思い出すことが出来なくなることが往々にして起こります。そこで、すぐに描き留めることが大切です。(パソコンを立ち上げCAD操作などしている間に、アイデアは消えてしまいます)
ポンチ絵でメモするポイントは次の2つです。
・常にメモ帳(手帳)を携帯する。メモ帳は方眼用紙タイプを使う。通常罫線は黒色なので、メモを描くときは赤色ボールペン等を使い、見やすくしておく。
・ポンチ絵ではアイソメ図や断面図を多用するため、それらの基本的な技法はあらかじめ習得しておく。
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