329メイカームーブメント
メイカームーブメント(英: Maker Movement)とは、(抽象的には)「ウェブ世代が現実世界と交わること」であり、世界中の「ガレージ」(=アメリカ流の表現であり、おおむね「自宅の工作室」のこと)がオンライン化し、「仕事」と「デジタルツールの利用」を同時にすると起こるムーブメントであり、(より具体的には)デジタルファイルやCADや3Dプリンターなどを使う、digital fabrication(デジタル(な)製造。つまりデジタル技術を用いたものづくり)の潮流のことである(MAKERSの著者、クリス・アンダーソンによる定義。 「第三の産業革命」とも言われる。メイカームーブメントの活動は、大きな製造業者に牛耳られがちだった従来の製造のありかたに対して個人が立ち上がり革命をもたらす面もあるので「メイカー革命」と呼ばれる事もある。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
以前、このデジタル技術を用いたものづくりの潮流にのって、ものづくり工房を立ち上げた経験があります。
東京の都心の一等地。1,200㎡の敷地面積に、ものづくり工房を立ち上げるプロジェクトを引き受けたことがあります。当時、米国では3Dプリンター、レーザプリンター、CNCといったデジタルデータを用いて、素人でも簡単に造形、加工ができるツールと作業スペースを提供する会員制のものづくり工房が各地で立ち上がっていました。対象者はDIYに興味がある人や、メイカーズといった人達でした。泉のように湧いてくるアイデアを、簡単に形にできるツールや場所が提供されるものづくり工房は、大きなブームになっていました。このプロジェクトでは、米国の有名なものづくり工房のフランチャイズを日本で最初に立ち上げるものでした。
実際はものづくり工房の立地場所の選定からプロジェクトは始まりました。十数か所の候補地から5つに絞り、コンペをして東京の都心の一等地に決まりました。立地場所が決まると、60数種類に及ぶものづくりの設備・機器の選定、建屋のインフラの仕様策定、レイアウト設計、スタッフの教育や会員さん向けの教育資料の作成(設備の取説、保守説明書)を米国のフランチャイズ仕様と照らし合わせながら進めました。
そのフランチャイズ仕様の中に、「受付のカウンターテーブルは、新スタッフを含めた立ち上げメンバー自らで製作すること」といった宿題がありました。米国で立ち上がっている6つのフランチャイズ店は既にブランドカラーを使って、各店舗とも類似のカウンターテーブルを製作していました。当初、米国から図面をもらって、日本様にアレンジしようと考えていましたが、そもそも図面はないとのことでした。どうやら、DIYやメイカーズでは図面化にはこだわらず、アイデアを次々に形に変えていくやり方なので、図面はないそうです。(米国フランチャイズのスタッフは全員メイカーズ系です) と言われても、図面ベースでものづくりをやってきた生産技術者にとって、ものづくりには図面が必要です。
ちょうどプロジェクトメンバーの1名が、米国の各フランチャイズの見学と立ち上げノウハウを実習する機会があったので、彼女に各フランチャイズのカウンターテーブルの採寸をお願いしました。彼女の帰国後、カウンターテーブルの寸法や形状を見ると、かなり違うことが分かりました。そこで基本寸法(テーブルの長さ、高さ、奥行き)は各テーブルの平均値を使い、使い勝手については彼女の意見を取り入れて図面化しました。製作の手順は次の通りです。手書きの図面→デジタルデータへ変換→木工CNCのプログラミング→加工→塗装→組立→設置。材料は一般のべニア材とパイン材でした。一連の作業は新スタッフを含めたプロジェクト全員で製作しました。製作期間は3日間ほどでした。この宿題のおかげ様で、新スタッフにとっては、タイムリーなOJT教育となりました。
5年にわたり運営され千人を超す会員様に惜しまれつつ、19年度で閉店となりました。
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