328倉庫と部品供給とIoT
工場内には、多かれ少なかれ部品、仕掛品、完成品をストックする倉庫が存在します。しかし近年、組立系の工場では、多品種変量生産がますます必要とされてきているため、在庫は極力減らす方向へと、各社が取り組みを始めています。
電子機器メーカーは取り分けその傾向にあると思います。例えば、パソコンなどはメモリ、ハードディスク、周辺ユニットの組み合わせにより、数百数千の組み合わせが存在します。部品を集めるだけでも多くの工数が必要となります。さらに、部品ごとに倉庫へ保管していたら対応はできません。
一般に入荷した部品は受け入れ検査後、すぐに組立ラインの脇にある部品棚に小分けして収納されます。倉庫のように大量の部品を収納することはできませんが、その日必要な部品数がそろいます。すなわち在庫を減らすことができるのです。次に棚の部品を組立ラインへ供給しますが、ここでは水すましという部品供給者が台車をもって、必要な部品を収集して回ります。数十、数百点の部品を間違えることなく集めるために、ピッキングシステムがあります。組み立てる製品の番号をパソコン、スマホなどの端末に入力すると、必要とされる部品の棚のランプが点灯します。水すましは、点灯しているランプの棚の部品だけを集めればよい、といった仕掛けです。
仕掛品の場合はどうでしょうか。パソコンの場合、大きく2つのラインがあります。プリント基板にチップ部品を実装しプリント板ユニットを作るSMTラインと、すべての部品とユニットを組み付ける製品組立ラインがあります。例えば、全自動SMTラインが9ライン製品組立ラインはマニュアルで18ラインあり、両ラインともタクトタイムが同じ場合、SMTラインは2直、製品組立ラインは1直となります。したがって、SMTラインは夜間も稼働しています。出来上がったプリント板ユニットは一時的に中間倉庫に収納されることになります。ただ、収納されてプリント板ユニットは次の日に製品組立するので、短期間で払い出されることになります。
完成品の場合はどうでしょうか。完成品は集荷場で一旦、出荷先ごとにパレットに乗せられて、ラッピングされます。その後、搬送トラックに積み込まれ、出荷となります。
以上のように、多品種変量生産の場合、一時的な中間倉庫以外、倉庫は存在しません。
ではプロセス工場の様に、大規模設備で同じものを大量に作る場合はどうでしょうか。在庫はすぐにお金に換えることはできません。また、今の世の中買った時の価値があるかの保証もありません。在庫をなくすために、倉庫をなくすことは組立工場と同じだと思います。
プロセス製造であっても多品種への対応が徐々に必要となり、ロット生産に取り組んでいる工場があります。が一つ問題があります。大規模設備で大量生産することで、製品のバラツキが抑え品質の安定化を図ってきました。一方、ロット生産の場合は段取り替えが頻繁に発生し、製品品質の安定化といった点で従来の取り組みだけでは対応できなくなります。
有効な対策の1つにIoTの活用があります。製造状態をきめ細やかにセンシングして、短サイクルで製造品質データと突き合わせてフィードバックを掛ける仕組みです。ただ、プロセス製造の場合、工程が長くフィードバックに時間がかかります。そこで過去の製造データや品質データを分析して、品質予測をするフィードフォワードの仕掛けです。これら一連の仕掛けの構築がDXとなります。
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