318オシロスコープの活用法
オシロスコープとは、時間の経過と共に電気信号(電圧)が変化していく、周期的変化をリアルタイムに波形としてブラウン管に表示させ、目では見ることのできない電気信号の変化していく様子を観測できるようにした波形測定器です。通常、画面表示の水平方向では時間の経過と共に比例して変化する電圧を、垂直軸では観測する信号の電圧を表し、2次元のグラフとして画面上に表示するオシログラフです。
高周波信号まで観測できるものが一般的であり、主に波形の分析、高速現象の観測、過渡現象の観測など、電気計測の分野で多く用いられています。
Web ヤマト科学株式会社 より
みなさんは、オシロスコープにXとYの入力チャネルがあることをご存じですか?例えば、Xチャネルにサイン波を入力して、Yチャネルに位相差90度のサイン波を入力すると、画面に円形の図形を表示することができる機能です。任意のサイン波を入力して、その位相差を測定することが本来の目的です。
ロボットの関節モジュールは、モーター、エンコーダー、ハーモニックドライブの3要素で構成されています。エンコーダーはモーターの回転数を検出するセンサーで、回転速度、位置、方向を検出することができます。インクリメンタル型とアブソリュート型があり、当時はインクリメント型が分解能の点で優れていたので、広く採用されていました。
インクリメント型エンコーダーは、A相信号、B相信号、Z相信号を出力します。A相、B相は、円板上にきざまれている1024のスリットで光学センサーをON/OFFさせて作られます。(モーター1回転当たりで1024のサイン波を発生します) そのサイン波の数が位置になり、周波数が速度になります。また、A相とB相は90度の位相差があるため、+回転か、-回転かがわかるようになっています。Z相はモーター1回転に付き、1つの信号を出すもので、原点信号として使用します。
当時、ロボットの関節の組立は、このエンコーダーのスリット円板の取り付けと、調整が非常に重要な作業の1つとなっていました。円板がモーター回転軸の中心になかったり、光学センサーから離れたりするとちゃんと出力されません。そこで逆に、オシロスコープのXYチャネルにA相、B相の信号を入れ、画面上に規定の円が表示されるように円板の位置を調整します。通常、斜めの楕円であったり、円が極端に小さかったりしているのを、手作業で調整することは至難のことでした。
ロボットのモーターは正転逆転します。正転のときは円が大きく、逆転の時は円が小さくなることがあります。これはモーター軸を支えているベアリングの軸方向の剛性がないということで、モーター軸を再度組み直すことになります。今考えると大変な仕事でした。
ロボット自身が持っているセンサーを利用して組立調整する。それも、リサージュ波形といった普段はあまり使用しないオシロスコープ機能を利用している点などは、エンジニアにとって、ある意味、魅力的な仕事でもありました。
現在、エンコーダーはアブソリュート型が主流で、かつモジュール化されているので、上記作業は全く発生しません。不具合があれば、よいものと交換するだけです。これはチェンジニアであって、エンジニアではありません。
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