309自動化ライン設計の要点
量産工場の製造ラインはどのように設計するのでしょうか。製造ラインには、マニュアルライン、自動化ライン、セルラインなど色々ありますが、設計の要点は共通です。ここでは自動化ラインを例に、事前準備、ライン設計〜要素設計への流れ、品質設計、コスト設計の要点について記載します。
<自動化の事前検討>
・既存ラインのムリ、ムダを洗い出します。
・例えば工程間の搬送にコンベアを検討する前に工程を隣接できないかを検討します。
・作業者の移動や待ち時間が発生しないようなレイアウト、流れを検討します。
・自動化しやすい様に製品設計の変更を検討する。
・自動化ライン製造のための製品規格書を作成し、設計標準とします。
・お客様に製品の仕様を変更することは難しい→新規製品やマイナーチェンジの時に自動化の効果(お客様にとっての)を説明してお客様と一緒に自動化を進めます。
・ネジの種類、長さを統一するだけであっても大幅に自動化し易くなります。
・自動化しやすいように治具を検討する。
・製品設計で変更が困難な場合、治工具で工夫する。ロボットハンド、ワーク固定治具、部品供給トレイなど。 →自動化が難しい部品の1つにケーブル類(柔軟物)があります。治具の出来が自動化を左右します。
<ライン設計〜要素設計の流れ>
・事例の前提条件:生産量→480個/日(日:1直8時間)→60個/時間 →1分に1個
・ライン設計:生産量とあらかじめ調査した全作業量から工程を分割します。ピック&プレイス(部品を取り移動し置く動作)の回数と1回あたりにかかる時間を設定します。たとえば、1回のピック&プレース時間を6秒としたら1分間に10動作できます。
・設備設計:作業を作業者と設備へ振り分けます。
・要素設計:設備設計で振り分けられた時間内に作業分割を検討します。
<品質設計/コスト設計>
・上記は生産量を基準とした設計ですが、並行して品質とコスト設計を行います。
・品質は不良率(ppm)や各工程の歩留り(工程能力)を指標とします。
・各設備に必要な要素ごとにハードと組立調整にかかるコストを算出します。たとえば、回転、直動などの機構1つについて20万円、組立調整コストはその1/2とするなど、原単位を決めておくと算出が容易となります。
<レイアウト設計>
・上記ラインの機能、性能を満たすように設備の配置、ワーク搬送、部品搬送のルートを設計します。搬送距離は極力短くします。頻繁なライン変更が想定される場合にはAGVを検討します。
以上、自動化を例にとったライン設計の要点です。ラインを運用するためには、さらに情報系の設計、運用系の設計が必要となります。別途記載しようと考えています。
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