298生産設計図面
日経XTECHの2021年1月号に「生産設計図面がない? そんな企業はものを造れなくなる」といった見出しの記事がありました。下記は抜粋です。
設計者は機能設計図面ができた後、その図面を生産技術部門や製造部門に提出し、品質を保った生産を行うことが可能か否かについて検証してもらいます。生産技術部門や製造部門は変更や修正が必要な部分を見つけたら、その情報を設計者にフィードバックします。すると、設計者は、その情報をそのまま受け入れることができるのか、機能に影響を与えないかなどと検証し、図面を変更していきます。こうして完成するのが生産設計図面なのです。
生産設計図面を受け取った生産技術部門や製造部門は、生産工程を構築するための情報として、新しい図面で変更されている部分のみを確認していきます。ここで設計者と生産技術部門や製造部門がコミュニケーションをうまく取っていけば、製造段階での設計者への問い合わせや、図面変更の依頼などが大幅に減少していくことでしょう。
例えば、製品に使用する「ねじの種類」を確かめてみてください。M2やM3といった小さいねじ(ビス)から大きなものまで使用しており、種類も皿ねじや鍋ねじなどたくさん存在する。長さが異なるねじも設定されている──。こうした状況ではありませんか。
機能的に考えて、そこまで多くの種類のねじが本当に必要なのか再検討すべきです。多くの場合、「以前からそのねじを使用していた」という実績(前例の踏襲)に頼り、機能的に必要か否かの議論をせずに出図しています。生産技術者はそうした点に疑問を持ち、本当に必要なのかを考えて、「生産工程やタクトタイム上、これだけのねじの種類に絞ってほしい」などと要望を出してほしいと思います。
以上 日経XTECHの2021年1月号記事より抜粋
上記については、製造ラインの自動化を推進する場合も同じです。プリント基板に電子部品(チップ)を実装するSMTラインはそのいい例です。設計された製品がライン自動で実装組立できるか否かで、製造コストは大きく変わります。この場合、事前にSMTラインで製造するための製品設計をルール化し、製品設計サイドへ通知しておきます。
たとえば、プリント基板の大きさ、チップの隣接大きさ、形状、チップとチップの間隔、銘板貼付位置などです。これは一般の組立ラインの自動化を推進する場合も同じです。ロボットで組立を行う場合には、ロボットが把持し易いように製品部品に把持代を設けたり、機械で加工し易いように加工代を設けたり、といったことを生産技術側から製品設計前に伝えます。さらに、プリント基板自身の自動検査の場合、検査用の回路を製品設計に盛り込んでもらうこともします。
一方で、こんな例もあります。プリント基板設計において生産技術側から、配線パターンを這わしてはいけないエリアを指示されたため、製品設計側は、やむなくプリン基板の層数を追加したといった事例もありました。この場合、コストアップになります。
トータルでQCDを考えるためには、常に生産技術側と製品設計側との連携が大切であることには変わりありません。
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