299日本技術士会(その4)
先日、日本技術士会の機械部会の1月度例会で講演を聴きました。「技術士が技術者倫理を考えることの意味」といったテーマで、原子力・放射能事故の経験から、技術士としての行動の指針となる考え方についての講演でした。講師自身が過去の事故のリスクに対して真剣に向かい合ってこなかった反省からの話で、経験から学んだことを丁寧に述べられていました。2つの印象的な内容について記載します。
福島第一原子力発電所(1F事故)に対する技術士の責任
・技術士は高度の専門的応用能力と高い職業倫理(技術者倫理)を有するとされる。
・技術者倫理を技術者自らが自分自身のこととして捉え行動することの意義は、自らが携わる技術による事故などの負の影響を未然に防ぐことにある。
・だとすれば、1F事故に対して、技術倫理を標榜してきた原子力・放射線部門の技術士は如何なる責任を負うのか。
以上、技術士会内の議論
技術者倫理の基本原則と「幸せ」
・技術者倫理の基本原則「公衆の安全、健康、福利(welfare/well-being)の最優先」
・個人の幸せ(Meaningful life):自分よりも大きなもののために仕事をし、貢献できることにより、最も大きなかつ長続きする「幸せ」を得ることができる。
・すなわち、技術者は倫理的に仕事をすることにより社会に福利をもたらすとともに、自分自身も「幸せ」になれる。
以上、2015.4.5放送大学「技術者倫理」より
以前、ブログ№137で協働ロボットと安全性について大阪工業大学 野田哲男氏の「協働・産業用ロボットの導入のポイント」といった記事を掲載しました。
止まっているロボットであっても手先に細長い刃物が取り付けられていたら、その取り外し時はもちろん、近接して作業するときも、自分に刺さらないか注意するだろうし、ゴーグル、ヘルメット、手袋など保護具や専用工具の使用と作業順番を定めた作業手順書を作成しそれを遵守しながら作業したくなるはずである。鋭い刃物がロボットについていなくても腕を伸ばしたロボットの下で作業していると、作業が終わって勢いよく立ち上がると大変なことになる。安全な環境を手に入れるためには、様々な危険を予測して、先回りして行動すべきである。ロボットが協働ロボットであったとしても、やるべきことには変化はない。
以上、記事より掲載
これは技術者であれば簡単に気が付くことであり、「公衆の安全、健康、福利の最優先」に当たります。さらにこの基本原則に沿って自動化の推進、IoT・AIの推進、DXへと自らの技術を展開していくことが、技術者の「幸せ」へとつながるのだと思います。
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