293現場部門のデータサイエンティスト

 日経XTECHの2019年9月号に「現場向けにデータサイエンティスト教育を拡充」といった見出しの記事がありました。下記は抜粋です。

 IT業界を中心として、特に不足しているのは「棟梁レベル」のフル・データサイエンティストであるとの議論がある。しかし、このレベルの人材を「何百人も社外から採用するのは不可能」(NEC AI・アナリティクス事業部AI人材育成センター・センター長、NECアカデミー for AI学長の孝忠(こうちゅう)大輔氏)であり、基本的には内部で育成するしかない*1。いきなり棟梁レベルの上級者を育成するのも無理だから、まず取り組むべきはアシスタント・データサイエンティストやアソシエート・データサイエンティストを養成する教育である。

 上級者を増やすよりも、むしろアシスタントやアソシエートレベルのデータサイエンティストが、サービス提供やシステム構築、あるいは機器製造といったデータサイエンスを本業としない部署で活躍することこそ大事との見方もある。「実業務へのデータサイエンスの応用プロジェクトは、現場部門の人が旗を振らないと進まない。全社横断部門のデータサイエンティストが主導しようとしても、現場がデータドリブンの考え方になっていないとうまくいかない」(孝忠氏)。

 以上 日経XTECHの2019年9月号記事より抜粋

 さらに、「工場・製造プロセスのIOT・AI導入と活用の仕方」㈱技術情報協会には、現場にいる人が使えるデータ分析の必要性について記載しています。下記は抜粋です。

 「データ分析でより良い結果を得るためには目的に合った質の良いデータが必要となるが、これを検証するには今のところ、試しにデータ分析をやってみる以外に方法は見当たらない。これらのデータ分析は、このデータの発見を効率的に行うことが求められる。その手段として、ものづくりの現場にいる人がノウハウや直感で見つけたデータの質が良いかどうかを、AI技術を用いて確認する仮説検証型アプローチが得策である。実際、品質改善で成功している多くの企業はこのアプローチを採用している。」

 「また、これまでのデータ分析は、多大な時間と費用がかかっていた。原因はデータサイエンティストがデータの中身や使われ方、あるいは加工の仕方を理解するにあたって、ものづくりの現場にいる人に何度もヒアリングを行う必要があったからである。言い換えれば、現場のエンジニアが簡単にデータ分析できるツールが必要とされている。COLMINAデータ分析ナビゲーションは、この課題を解決する手段の1つとして開発したツールである。」

 「工場・製造プロセスのIOT・AI導入と活用の仕方」㈱技術情報協会 より

 製造業の中にAI技術を導入して品質改善のサイクルを作るためには、ものづくり現場の知見とデータサイエンティストのスキルが必要になります。以前、IoT/AIのフィージビリティースタディーで取り組んだプリント基板製造の品質改善では、ものづくりエンジニアが前記のCOLMINAデータ分析ナビゲーションで機械学習の統計手法の1つランダムフォレストを使用しました。データサイエンティストの手をほとんど借りることなく数万データを取り扱って、製造品質の異常予兆の精度向上に取り組むことができました。

 データサイエンティストがものづくりを理解することは難しいと思います。ものづくりエンジニアが前記のようなツールを使うことでデータを分析することは可能であると思います。

参考資料

https://www.fujitsu.com/jp/solutions/business-technology/intelligent-data-services/ba/product/operational-data-management-and-analytics/da-navi/

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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