294人と機械の協調2版

 ロボットの運動機能が飛躍的に向上し、AI技術も年々成長している中、人間とロボットが共存する世界も、遠い将来ではないと思います。人間型のロボットはその方向に進んでも、より機械に近いロボットは別の方向へ進んでもらいたいと思います。

 産業用ロボットは、より早く、正確に、安く、ものづくりするように進化させる必要があると思います。例えば、SMTの様に、1秒間に数十個の部品を実装し、実装精度は1/100㎜レベルで、24時間年間を通して稼働するといった機械型ロボットが、小さな電子部品から、様々な部品の組立ができるようになるように、研究開発が進むことを願っています。この研究開発を進めるに当り、課題が2つあると思います。

 1つは汎用性です。多品種に対応するためには、避けては通れない課題です。部品の供給、柔軟物のハンドリングなどは何十年やっても、なかなか進まない技術課題です。

 もう1つは検査の課題です。SMTの場合にも、部品の実装状態を画像で自動チェックする工程があります。不良品を後工程へ流すことがないように、実装状態が少しでも怪しいものは不良として扱います(虚報と呼ばれています)。虚報が本当に不良なのかを、人間が最終的にチェックします。その虚報の数は全チェック項目の半数以上を占める場合があります。(判定条件に左右されますが) これらの技術開発は、人間型のロボットの開発より数倍難易度が高いと思います。

 したがって、当面は人と機械は協調してものづくりをする必要があります。この時に留意することは、いかに人と機械を分離して協調させるかといった点です。機械やロボットは金属の固まりです。干渉、接触しただけで怪我をしてしまいます。ロボットの柵は安全の点から最低限必要となります。総出力が80W以下のロボットの場合、安全柵は必要ないといったルールがありますが、人間の急所(目など)にロボットの一部が入ってしまったら、ひとたまりもありません。

 どのような協調が考えられるでしょうか。例えば、実施の組立作業はロボットが100%のスピードで行い、ロボットへのワーク、部品のセット、リセットは人が行うとしたらどうでしょうか。セット、リセットの前後では部品のチェック、組立後のチェックも人が同時に行うといったのはどうでしょうか。ここで重要なのは、この協調がロボットと人とが安全柵を挟んで、淀むことなくできることです。

 <ブログ№048の追記>

 ロボットと人とが安全柵を挟んで、淀むことなく作業をするために必要な機構が±180°回転機構(ターンテーブル)です。ターテーブルの半分が安全柵の中(ロボット側)、残りの半分が安全柵の外(作業者側)になるように取り付けます。作業者が安全柵の外でターンテーブルにワークをリセット、セットします。同時にロボットは安全柵の中で組立作業を行います。両者の作業が完了したら、作業者はターンテーブルを180°回転(反転)動作します。反転動作が完了したら、先ほどの作業を繰り返します。この機構を取り付けると人と機械が近接した状態で安全に同時並行作業をすることができます。

 参考資料

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jrsj/33/5/33_33_314/_pdf/-char/ja

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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