289 DXに向けた取り組み
日経XTECHの2021年1月号に「DXの壁破る行動とは 調査で見えた必勝法」といった記事がありました。下記は抜粋です。
DXの本懐はビジネス変革である。従来の手法では推進力やスピード感がそがれたままとなり、「システムは新しいが働き方やビジネスモデルは変わらない」といった状況に陥りかねない。変革を中核に据えたDXを成し遂げるには、経営層を中心にユーザー部門と情報システム部門、DX推進部門が全社方針を絶対の憲法とし、ユーザー部門の個別事情はあえてある程度無視しつつ、一定の強引さをもって進めていくべきである。
以上 日経XTECHの2021年1月号記事より抜粋
また、経済産業省はDXを次のように定義しています。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
以上、「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」経済産業省より
以前、社内のプロセス系工場を対象に、IoT・AIを活用して品質改善を進めるプロジェクトを結成したことがあります。目的は2つありました。1つ目は対象となった社内工場の工程内の品質を改善することによるコスト削減。2つ目はIoT・AIを活用した品質改善プロセスの確立とそれをサービスとして社外へ展開しビジネス化すること。でした。
そのプロジェクトの中心は、社内の製造工場を統括する生産技術部門です。いわゆるコストセンターの部門です。プロジェクトを運営するリソースとしてリーダーを含め約10名のエンジニアと数千万の活動資金が必要でした。従来のコストセンターの予算の外枠となるため、経営層への説得が必要となります。
工場のコストダウンだけでは、経営層が満足するだけの十分な効果を試算することはできません。そこで品質改善プロセスそのものをサービス製品として位置付けて取り組む方針を打ち出しました。これは明らかにプロフィットセンターの業務内容となります。世界市場の動向、競合他社の調査、具体的なターゲットの調査や売り上げ予測などを試算して繰り返し経営層へ説明しました。
経営層の了承が終わると同時に、エンジニアの社内募集を人事部門の協力を得て行い、予算の確保を経理部門の協力を得て行いました。プロジェクト体制ができ、対象となる工場側(ユーザー側)の体制を構築し、ステアリングコミッティの下、活動がスタートしました。募集したエンジニアはプロジェクトを走らせながらIoT・AIを勉強し、さらに工場スタッフを指導するといった形でデータの棚卸、要因分析、データの収集、統合、分析、運用といった品質改善のプロセス(型)を作り上げていきました。並行して、プロジェクトのPM、PMOは営業部門と販売促進部門と連携して、既存顧客の下へ新しいサービスとして売り込みの活動を進めました。
以上のプロジェクトは、新しいサービスの社内検証から社外ビジネス化へと一貫した活動となりました。また、多くの部門を巻き込んだ取り組みとなりました。IoT・AI(データ)を活用した取り組みを引き金にコストセンター、プロフィットセンターの枠にとらわれず、技術、営業などの職種にとらわれない、ビジネス変革すなわちDXの一つの形と言うことができると思います。
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