285 AI画像認識で検査を自動化・効率化

 日経ものづくりの2021年1月号に「AI画像認識で検査を自動化・効率化」といった記事が載っています。下記がその抜粋です。

 OKIサーキットテクノロジーの自動化プロジェクトではAIも導入している。製造中に各層を検査する。製造中に各層を検査する中間検査工程では、これまで画像処理による工学的自動検査装置(AOI: Automated Optical Inspection)5台と、そこで検出した不具合を解析する解析装置6台を利用しており、それぞれ担当者が付くため合計で10.5人が必要だった(解析装置1台のみは0.5人の扱い)。AIの導入などによりこれを一気に4人に減らした。

 具体的な手順は次の通りだ。まずAOIへの基板の出し入れを自動化する搬送装置を設置し、人が搬送しなくて済むようにする。この自動化によりAOIのうち古い2台を無くし、3台での運用に変える。次にAOIが検出した不具合の解析態勢を変え、ここを3人が担当するようにする。AOIは少しでも異常が疑われる点を指摘するが、実際に異常であることは少なく、それを解析装置によって詳しく確認していた。この一部をAI応用の画像認識システムで置き換える。AOIによる指摘項目のうち、多くをこの画像認識システムでエラーではないと判定できるようになる。AIでも判定できない項目のみを、2台に減らした解析装置で確認する。画像認識システムは1~2台を運用する予定で、これとまとめて3人が担当するという方針だ。

 以上 日経ものづくり 2021年1月号から

 上記と同じような例は多くあります。たとえば、プリント基板へのチップ実装のSMTラインの場合では、チップ実装工程の後にAOIで実装状態を検査します。ここでもAOIから多くのNGとみられる箇所がデータとして排出されます。NGとして排出されたデータのポジションはオフラインに設置されているプロジェクターと呼ばれる目視検査設備に送られます。プリント基板をプロジェクターにセットします。ポジションデータに基づき、プロジェクターの顕微鏡カメラへプリント基板が移動します(自動XYテーブル)。顕微鏡カメラの画像を作業者が目視検査をして本当にNGであれば、修理工程へ渡します。

 従来の製造現場では、自動検査装置が導入されていても、NG品の最終判断は作業者による目視検査を行っています。最近では、これら最終判断をAIに行わせる取り組みが始められているようです。

 AI導入の目的は目視検査の作業者の削減でしょうか。確かにインラインの作業者は削減されますが、AIシステムの開発、導入、メンテナンスを行う技術者やAIに学習させる教師など多くの人の増加となります。目的は製造工程内の品質改善です。最終検査のAI化だけでは、インライン作業者の削減によるポカミスが減少するだけです。これはトータルの品質改善の第1ステップに過ぎません。次のステップは、各プロセス工程のバラツキとこの最終工程の結果を紐付けして、品質を予測するといったAIシステムへ展開します。その予測をベースに製造現場のPDCAが回り始めると不良を未然に防ぐシステムとなり、トータルの品質改善、言い換えると歩留改善となります。

 自動化、AI化による数人の作業者を削減すること、歩留を1%改善すること、どちらがビジネスに大きく効果するかは明らかだと思います。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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