284 AIの要はデータ

 「AIの要はデータ、その品質はどう保つ」といた記事が日経XTECH 12月号に載っています。ここではデータの品質がAIにもたらす影響と、データ品質を保つ方法について解説されています。下記は抜粋です。

 AIにおけるデータの品質とは?

 データに求められる品質は、データの役割によって異なる。一般にAIに与えられるデータは「 AIを学習させるのに用いる学習データ」「AIの性能を確認するのに用いる評価データ」「実運用時に与えられる運用データ」の3つに大別できる。

 そして産業技術総合研究所が発表した「機械学習品質マネジメントガイドライン」を参考にすると、これらのデータに関連した品質として以下の3つが考えられる。

 第1が学習データに関連した品質だ。ここでは「AIに求める動作範囲内のあらゆる状況に対応するデータが、学習データに漏れなく十分含まれていること」や「データに含まれる様々な状況の割合が、実際の動作環境で想定される状況の割合と一致していること」「欠損値やラベル誤りなど、ノイズが含まれないこと」などが問われる。

 第2が評価データに関連した品質だ。ここでは「AIに求める動作範囲内の高リスクな状況の組み合わせを、評価データが網羅的にカバーしていること」や「学習済みのAIの動作パターンを漏れなく確認できること」などが問われる。

 第3が運用データに関連した品質で、ここでは運用時データの性質が学習時データの性質から変化していないことが問われる。

以上 日経XTECH 12月号 記事抜粋

 上記の3つのデータに関連した品質の中でも、第1の学習データに関連した品質がIoTの構築に関わる重要な項目です。以下のような経験があります。

 あるプロセス工場で、データを活用して製造品質を予測したことがあります。ここで使用されたデータのなかには、1日2,3個しか収集されていない工程もありました。1日100ロット流れる製品のデータとしては明らかに不足していると思います。その工程の1つとして定温槽がありました。この定温槽のアナログメータへカメラを設置し、24時間撮影しAMR(アナログメーターレコグナーザー)というツールを使い1分間隔でデータを収集してみました。その結果、定温槽を一定に保つサーモスタットのスイッチングの様子や、定温槽に日に1回投入される薬液の影響で温度が変化することが分かりました。温度が1℃変化すると、反応スピードが5倍も変化する工程において、重要な改善ポイントを見つけることが出来ました。

 またここで使用したIoTツールのAMRの取り扱いにも下記注意が必要となります。

 AMRは旧式設備のアナログメータをカメラで撮影し、デジタルデータ化して統一データ形式で出力します。それがどのメーカーの円形針メータであっても、7セグ表示器であっても、フロートメーターであっても同じ形式で出力されます。言い換えれば、設備メーカーや、設備の新旧に依存することなく必要なデータを収集すれば、統一データ形式でデータベースに格納できることになります。ゲートウェイの機能は必要なくなります。

 AMRはカメラでメータを撮影しなければいけないので、工場の環境(照明の変化や振動などによるノイズ成分)に対して工夫する必要があるなどの課題はありますが、合理的なデータ収集であることには間違いないと思います。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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