226再生材料とプロセス製造
工場はプロセス系と組立系の2つのタイプに分けることができます。プロセス系には、鉄系、非鉄系など、原材料から精製して均一素材を製造する工場や、その素材から単一部品を作る工場があります。さらに、半導体やプリント基板の様に、複数の素材を使い、化学反応、電気的な処理を施してものを作ることもあります。いずれも、専用設備がなければ、ものづくりができない工場です。
この工場の特徴は、各設備の製造条件を設定して、その条件になるように日々監視し、条件から外れていればチューニングして品質を管理する点です。製造リードタイムは1日から数週間かかります。単一なものを連続で製造するため、一度製造条件を設定すれば、それを維持することで品質は安定します。近年は複数のものづくりのニーズに対応するため、または新規に開発される大量の品種に対応するため、頻繁に条件を変更する必要が出てきています。したがって、いかに早く安定した条件に設定できるかが、課題です。
紙、プラスチックやゴムなどの単一製品の場合は下流工程で不良となっても、不良品を再生し原材料として取り扱うことができます。ただし、下記の様に再生によるロスが発生します。半導体、プリント基板のような複合素材の製品の場合、不良品は産業廃棄物として取り扱わなければならない物もあります。この場合、不良は材料のロス、製造時にかかるエネルギーのロス、さらに廃棄物処理にかかるロスなど、多くの問題を抱えています。
紙、プラスチックやゴムなどの再生材料の製造工程には次のようなものがあります。
紙は、チップと古紙を原料に作られています。チップとは、木材を細かく砕き小片にしたもので、チップを薬品と一緒に煮て木材中の繊維を取り出し「木材パルプ」を作ります。一方、古紙からは、古紙中のインクやチリを除去し「古紙パルプ」を作ります。ほとんどの紙は、「木材パルプ」と「古紙パルプ」の両方が配合され、作られています。
古紙の製造工程:古紙溶解→異物除去→塗料除去→漂白→洗浄→抄紙→紙製品
https://www.nipponpapergroup.com/knowledge/recycle/process.html より
再生ペット製造工程:収集→異物除去→選別→粉砕→風力分離→洗浄→洗浄→比重分離→フレーク化→ペレット化→化学的再生または物理的再生→再生ペット製品
http://www.petbottle-rec.gr.jp/basic/pop_flow.html より
再生ゴム製造工程:原材料(使用済みタイヤカット品)→粗砕→細砕→混油→脱硫→冷却→精砕→ストレーナ通し→シーティング→冷却→巻き取り→再生ゴム製品
http://asahi-rec.com/%E5%86%8D%E7%94%9F%E3%82%B4%E3%83%A0/ より
再生材料の製造工程を見てみると、通常の原材料から精製して均一な素材を製造するのと同等以上の工程が必要となることが分かります。使い古したリサイクル品を再生する場合は環境影響をすくめてトータルで再生材料の価値があると思います。一方で、一般の製造プロセスなどで出た、不良品や端材を再生することは製造業者にとっては大きなロスになります。品質の向上・安定化、端材の削減といった課題に対して積極的にIoT/AIを活用する必要があると思います。
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