208 QC工程表とデータ活用
設計図に示された品質特性を工程内でつくり込むのが製造部門の役割です。品質の善し悪しは製造工程に左右されます。製品や部品の品質を確保するためには、購入品と製造工程の管理が重要になります。製造段階で「狙いの品質」を実現するために、品質に影響を与える「要因の管理」と製品の「品質特性」の管理が必要です。これらの管理は工程管理と称しています。
製品の品質に大きな影響を与えるものちして4Mがあります。その意味するものは、人(Man)、機械設備(Machine)、原料・材料(Material)、製造方法(Method)です。製造工程で品質をつくり込むためにはこの4Mの管理が重要になります。製造工程の管理にはQC工程表が活用されます。製造工程の各段階で品質特性として何をチェックするのか、品質に影響を与えるものをチェックします。
「トコトンやさしい品質改善の本」岡田貞夫 林勝昭著 日刊工業新聞社発行 より
製造工場においてIoT/AIを使って品質改善い取り組む手順として、データの診断、収集、統合、分析、運用があります。データ診断の中にはデータの棚卸と要因分析が含まれています。ここではQC工程表を使ったデータの活用の仕方について記載します。
前述の通り、QC工程表には各工程での品質管理項目が記載されています。最初の工程から最後の検査工程まで順を追ってデータを棚卸すれば、管理項目を漏らすことはありません。棚卸されたデータは工程と時刻のマトリックスに整理できます。
たとえば、横軸に工程、縦軸に時刻のマトリックス表を作成します。工程1の管理項目が温度であれば時刻0:00→20℃ 0:10→21℃ 0:20→19℃といった具合にプロットできます。工程2の管理項目が電流であれば時刻0:00→2.0A 0:10→2.2A 0:20→2.1Aといった具合にプロットできます。マトリックスの一覧表にしておくことで、データの有無、不足もよく見えると思います。
各工程の管理項目のバラツキ、平均、時系列の変化を見ることができます。4M管理はバラツキを管理します。周期的なバラツキか、ランダムなバラツキか、ドリフトがないかを分析し要因(4M)を究明します。
個々の製造品は工程を通過した時刻に沿って、管理項目のデータをつなげます(製品の品質のトレースを作成)。全ての製造品のトレースされたデータを使って、たとえば多変量分析で、管理項目値の最適化を図ったり、機械学習させて、歩留まりを予測したり、とデータの活用が展開されます。データをつなげる際はデータの正規化も忘れずに。
尚、データ量の不足や、データの欠損に際して、補完や移動平均などの処理を行う場合があります。が正しい分析結果を必要とする際は、データの質、量のリッチ化に向けた取り組みが重要となることは間違いありません。
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