198工程能力指数
「面積(㎡)、温度(℃)、長さ(㎝)、重量(g)などで表される製品品質の特性を6σ(シックス・シグマ)で割った値を工程能力指数(Cp)と言います。製品をサンプリングして品質特性を計測しますと、そのデータの分布は一般的に正規分布になります。正規分布から標準偏差σ(品質のバラツキを表すシグマ)を計算し、工程能力指数を求め工程の善し悪しを評価します。均一な製品を作ることができる工程は『工程能力がある』という言い方をします。」
トコトンやさしい品質改善の本 岡田貞夫・林勝昭著 日刊工業新聞社 より
自動組立において最も基本的なテーマは、ピンの挿入の問題です。ワーク側の穴に対し、ピンを確実に挿入できるかどうかです。通常、製品の組立では、組立(ピン挿入)後にガタがないことを求められます。したがって、ピンと穴のガタは1/100mmレベルの隙間で管理されています。言い換えれば、1/100mmの精度で穴とピンの位置決めができないと、挿入ができないことになります。
しかし、現実的には穴の寸法誤差、ピンの寸法誤差、ロボットの位置決め誤差、ロボットのティーチング時の誤差など、もろもろの誤差からなるトータル誤差からを考えると、1/100mm精度はとっても不可能な数値となります。そこで製品設計側で、穴、ピンの両方に面取り加工し、入り勝手を付けます。すなわち入り勝手分の位置ずれは許容されるということです。
再度、誤差について考えてみます。前述の各誤差の最大値(最大許容誤差)をすべて合計した誤差が、先ほどの入り勝手の寸法に納まっていれば問題ありません。実際は入り勝手の寸法よりかなり大きな値になる場合が、多々あります。そこで、各誤差の最大値がすべて揃う確率は非常に低いという前提で、次の様に考えます。
穴の寸法誤差±0.02mm、ピンの寸法誤差±0.02mm、ロボットの位置決め誤差±0.05mm、ティーチング誤差±0.05以内に3σの信頼性でそれぞれが保証されている(99.97%は誤差内)と仮定します。トータルの誤差は標準偏差の合成式2乗和平方で求められます。この例の場合、トータルの誤差は±0.076mmとなり、これが3σの信頼性を持ったトータルの位置ずれ量に相当します。前述の面取り加工によりピン挿入時の許容値±0.1mmとすれば、0.100mm/0.076mm→1.32が工程能力指数(Cp)になります。
一般に、世の中の加工、組立、調整ほか、主要な仕様項目の信頼性は3σ以上であるといった暗黙の了解の下に成り立っています。機械設計で設計者が使う公差も同じ様に使うことができます。実際のものができる前に、各製造工程の能力、歩留まりを設計します。
<参考>
冒頭の「トコトンやさしい品質改善の本」の中には工程能力指数の判断基準について次の記述があります。
Cp 1.67以上‥‥‥‥‥工程能力は十分すぎる
Cp 1.67~1.33‥‥‥‥・工程能力は十分である
Cp 1.33~1.00‥‥‥‥・工程能力は十分とは言えないがまずまずである
Cp 1.00~0.67‥‥‥‥・工程能力は不足している
Cp 0.67以下‥‥‥‥‥工程能力は非常に不足している
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