197特性要因図(フィッシュボーン図)
「QC活動では、データを収集し、そこから得られる情報に基づいて対処するということが頻繁に行われます。データからさまざまな情報を読みとるために使われる基本的な道具が、弁慶の7つ道具になぞらえてQC7つ道具といいます。①チェックシート②パレート図③特性要因図④ヒストグラム⑤グラフ、管理図⑥散布図⑦層別。」
「特性要因図は、問題とする特性とそれに影響を及ぼしていると思われる要因を整理して、お互いの関係が分かるように体系づけた図です。」
トコトンやさしい品質改善の本 岡田貞夫・林勝昭著 日刊工業新聞社 より
以前、IoT/AIを使ってプリント基板製造の品質を改善するフィージビリティースタディーに取り組んだことがあります。その際に以下の通り特性要因図を作成しました。
データ分析で有益な結果を導き出すためには、どのデータを分析に用いるか選定することが重要なポイントです。要因分析を行うことにより、データ選定の判断材料を得ることができます。ものづくり場合の品質不良には大きく2つの要因があり、要因分析はこれらを起点に進めることができます。
1つ目は設計要因です。設計上求められる許容値が厳しすぎると製品を作るのに難しくなってしまい、逆に許容値が緩すぎると製品としての性能にバラツキが出てしまいます。したがって、設計は適正値にすることが求められます。
2つ目は製造要因です。製造では、加工品質が許容値の範囲に入るよう、決められた仕様の理想にいかに近づけてバラツキなくものを作るかが求められます。
私たちは、特性要因図、いわゆるフィッシュボーンを作成して要因分析を実施しました。中央の背骨から下に設計要因を、上に製造要因を表記し、さらに製造要因は4M(Man、Machine、Material、Method)の観点を取り入れて製造工程毎に分析を行いました。そして想定される要因をできるだけ多く抽出した上で、現場のベテラン技術者や有識者の意見を聞きながら、各要因に重要性の優先度をつけていきました。
優先順位に基づいてデータの棚卸をしましたが、優先度が高い要因のデータが十分ありませんでした。そこでデータが十分そろっている要因について最初にAI分析しましたが有益な結果を導き出すに至りませんでした(異常予兆の予測精度6割程度)。続いてデータは不十分であるものの優先順位の高い要因について分析した結果、異常予兆の予測精度が7割程度に向上しました。(ただし実運用を満足する結果ではありません)
以上の経験から、特性要因図の重要性を再認識することができました。
<参考>
冒頭の「トコトンやさしい品質改善の本」の中には特性要因図のつくり方について次の記述があります。
①取り上げる特性を決める。
②関係者を集めて討議する:ブレーンストーミング法の4つの原則を中心に数人が集まり、意見を出し合う。カード瞑想法も有効。
③大骨になる要因を決める:まとまりのある仕事か4Mにする。
④中骨、小骨、孫骨になる要因を決める:一番末端のアクションがとれる要因まで入れる。
⑤あげられて要因を確認する:取り上げる要因に漏れがないか、本当の要因かどうか、ダブりはないかなどチェックする。
⑥作成目的、次期、作成者などを余白に書く。
重要度のウェイトづけが完了したら、その影響度の多いものから改善計画を立案し、改善計画に沿って改善を実行してその結果を確認します。
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